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言葉躍る「野党再編」 脅威にあらず

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言葉躍る「野党再編」 脅威にあらず

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「結いの党」結党記者会見で、ロゴを発表する江田憲司代表(右)。左は小野次郎幹事長=2013年12月18日、東京都千代田区(酒巻俊介撮影)  【安倍政権考】

 「野党再編」という言葉だけが躍っている印象がある中央政界。当然のことながら、高揚感は漂っていない。「結いの党」を結成した江田憲司代表、日本(にっぽん)維新の会の松野頼久国会議員団幹事長、民主党の細野豪志(ごうし)前幹事長がその中心人物だが、3人の発言を紡いでみても、再編の青写真は見えてこない。昨年12月に安倍晋三政権が発足して約1年。政権内に再編の動きを脅威に感じる向きはない。

 都内のホテルで12月18日に行われた「結いの党」の設立総会。江田氏はその後の記者会見で興奮気味にこう語った。

 「次の衆院選までに野党再編も政界再編も起こらなかったら、衆院議員を辞したい。触媒として身を捨てる覚悟だ」

 江田氏は来年春に日本維新の会と再び新党を結成し、来年末までに民主党の一部と合流する構想を描く。

 重なる民主党の姿

 江田、松野、細野3氏は(12月)10日に「既得権益を打破する会」を結成。出席者の少なからずが、この勉強会をベースに再編機運を醸成していくことを考えている。しかし、現場に足を運んだ筆者が、再編のうねりを感じることはなかった。

 「打破する会」は規制改革や地域主権、共生社会をテーマに政策提言をまとめる方針だが、いずれも聞いたことのあるテーマだ。そう、これらは民主党が掲げている、あるいは掲げていた政策課題にほかならない。ちらつくのは、異論が出にくい政策を中心に据えることで一定の規模を確保しようという思惑。

 再編志向が強い江田と松野両氏は、なぜ民主党政権は失敗し、「打破する会」なら展望が見いだせるのかを明確に語る必要性に迫られそうだ。これを語らずして、この勉強会が再編に向けて説得力をもつことはない。

 江田氏は「結いの党」結成にあたり、「保守対リベラルのイデオロギーではない政策ごとに判断する合理性の政治をする」と語っている。これも民主党は試みたが、憲法や安全保障政策などをめぐる保守系議員とリベラル系議員の綱引きの影に、その試みは埋もれていった。

 17日発売の週刊朝日が3氏による鍋をつつきながらの座談会を掲載した。この中で松野氏は「民主党は割れずに、ほぼ丸ごと再編すべきだ」と語っている。松野氏が離党したのは、野田佳彦政権(当時)が消費税増税を推進したためだが、消費税増税容認の姿勢を変えていない民主党と、今ならなぜ組めるのか疑問が残る。

 細野氏は民主党では異例の派閥を結成する方針を固めている。次期代表選出馬をにらんだ動きとの見方が強い。

 だが、次期代表に就任できれば再編を仕掛けるのかと思いきや、週刊朝日の座談会では「民主党ができて、ここまで人材を集め政権をとったのはすごい重い話。人材や理念は守らないといけない」と語っている。民主党にこだわるその姿勢からは、再編にどう臨もうとしているのか見えてこない。

 わかない現実味

 産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が(12月)14、15両日に実施した合同世論調査。民主党の支持率は5.6%と、信頼が回復されていないことを改めて印象づけた。だが、与党の対立軸として最も期待できる政党を質問したところ、トップは民主党で25.1%だった。実に4分の1が民主党に期待を寄せているあたり、再編への現実味がわかない裏返しといえる。

 再編の動きを「脅威」と感じるか、と(12月)10日の記者会見で質問された菅義偉(すが・よしひで)官房長官は「脅威というよりも、政府・与党は選挙前に公約を掲げ国民から支持を得た。自公政権に託してよかったとの評価を得られるように真摯(しんし)に頑張りたい」と軽く受け流した。(坂井広志/SANKEI EXPRESS

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