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おもてなしと和食の魅力満載 映画「武士の献立」ロケ地、石川県の旅

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おもてなしと和食の魅力満載 映画「武士の献立」ロケ地、石川県の旅

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老舗料亭「大友楼」の膳。見た目も美しい加賀料理を堪能=石川県金沢市(杉山みどり撮影)  ドラマ「半沢直樹」で“良妻”を好演した上戸彩さんが公開中の映画「武士の献立」で、今度は料理上手の年上女房・春を演じている。加賀藩の“包丁侍”の世界を描いた作品だ。石川県といえば兼六園をはじめ観光資源も豊富で海や山の幸に恵まれグルメも満喫できる。2015年春には北陸新幹線が金沢まで延び、関東からの利便性も高くなるとあり、ますます注目度が高まっている。早速ロケ地を訪れることにした。

 兼六園、金沢城、加賀料理

 金沢市のほぼ中心部に位置する兼六園と金沢城は、市のシンボル的存在。日本三名園の1つ、兼六園は広大な土地に池、築山、御亭を配した“池泉回遊式庭園”で、四季折々の姿が楽しめるとあって年中観光客でにぎわっている。

 その隣に位置する金沢城は、加賀藩主・前田家の代々の居城として知られる。映画では、春の夫の包丁侍、舟木安信(高良健吾)らが登城する場面などが撮影された。兼六園、金沢城公園ともに見どころ満載なので、ゆっくり時間をかけて散策したい。

 さて、包丁侍とは何ぞや? 将軍家や大名家には主君とその家族の食事をまかなう武士の料理人たちがいた。限られた予算の中、食材選びから献立作り、諸国大名をもてなす豪勢な供応料理を仕切るのが包丁侍だ。

 映画は、加賀藩に実在した包丁侍、舟木伝内と息子の安信が残した献立書「料理無言抄(むごんしょう)」をもとに、江戸時代の武家や庶民が実際に食べていた料理を再現。作中に登場する本膳料理を監修した金沢市内の「大友楼」を訪れた。加賀藩の料理頭だった大友家の末裔(まつえい)が営む料亭だ。

 当主の大友佐俊さん(66)は「武士の別の面が見られ、加賀の伝統料理も知ってもらえる。すばらしい映画です」と話す。供応の宴の前に安信が右手に包丁刀、左手にまな箸を握って行う“食の儀式”に関しても、「儀式の所作を会得するのは難しいのですが、短時間であれほどさまになるとは。筋がいい」と高良さんをたたえていた。

 伝統の「揚げ浜式製塩」

 食材を探しに能登を巡る旅に出た安信と春の夫妻の足跡をたどるように、能登半島へも。義経伝説が伝えられる“義経の舟隠し”や琴ケ浜、白米千枚田は日本海に面した地域。能登は厳しい自然が育んだ食材の宝庫なのだ。江戸時代以前から続く“揚げ浜式”製塩を行っている珠洲市の「奥能登塩田村」も訪れた。

 夏の炎天下に塩田に海水をまき、大釜で塩を煮詰める伝統製法で作られた塩をなめてみる。舌にささるようなトゲトゲしさがなく、やわらかい風味だ。この塩を使うと料理がまろやかになると評判で、都内で期間限定で販売したところ、あっという間に売り切れたという。エキストラで出演した熟練の浜氏(はまじ)、登谷良一さん(66)は「ちょんまげにふんどし姿で塩まきしました」と照れくさそうに笑っていた。

 美しい加賀料理と食材、絵画のような景色を堪能した旅となった。(杉山みどり、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■武士の献立 優れた味覚と料理の腕を持つが、気の強さがあだとなり1年で離縁された春(上戸彩)は、加賀藩の料理方である舟木伝内(西田敏行)に才能を見込まれ、跡取り息子・安信(高良健吾)の嫁にと懇願されて再婚する。舟木家は代々、藩に仕える由緒ある包丁侍の家だが、安信は料理が大の苦手。春は夫の料理指南をはじめる。「武士の家計簿」(2010)に続き、江戸時代の加賀藩を舞台に描くシリーズ第2弾。監督は「釣りバカ日誌」シリーズの朝原雄三。

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