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日本最強馬 オルフェーヴル 午年に幕開け 「第二の人生」
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2周目3コーナーを回ってスパートをかけると最後の直線ですべてを抜き去り、後続に8馬身もの大差をつけるぶっちぎりでゴールを駆け抜けた。「オルフェ、オルフェ」、12万を超える観衆から地響きのような大歓声が上がった。昨年(2013年)12月22日、中山競馬場(千葉県船橋市)で行われた第58回有馬記念競馬・GI。最後の最後まで圧倒的な強さを見せつけた「日本最強馬」オルフェーヴル(牡6歳)がこの日、ターフを去った。
獲得賞金は15億7621万円、世界最高峰の「凱旋(がいせん)門賞」(仏)で2年連続2着、日本クラシック3冠。競馬ファンのみならずたくさんの人たちの夢を背負って走り続けたオルフェーヴルは、午年の今年、白銀の北海道にいた。
北海道安平町で種牡馬(しゅぼば)として第二の人生をスタートさせたのだ。ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ドリームジャーニーなど、そうそうたる優駿が集結する日本最大のスタリオン、社台(しゃだい)SS(スタリオンステーション)に入った。有馬記念でのラストランを終えるとすぐさま中山競馬場を出発、70時間かけて社台SSへとやってきた。
≪父になる準備 表情も穏やかに≫
オルフェーヴルは現在、体重約470キロ。競走馬としては決して大きくはない。競走馬から種牡馬になるためには、どんな馬も50~100キロほど体重を増やさなければならないという。
到着直後は雪に戸惑ったり、周りの名だたる名馬らに遠慮するかのようにおとなしいそぶりを見せていたが、一度放たれると興奮気味に小走りし、本来のオルフェらしさを取り戻していた。
デビューレースでは騎手を振り落とし、2012年の阪神大賞典では逸走するなど希代の「やんちゃ者」で知られたオルフェーヴルも牧場では優等生ぶりを発揮した。
競走馬として鍛え上げられた筋肉と雪景に映える栗毛がなんとも美しい。近づくと鼻を差し出し、なでてくれと言わんばかりにすり寄ってきた。厳しいレースを勝ち抜いてきたことが想像できないほど穏やかで優しい表情を見せてくれた。
「慎重でとても頭がいい馬で、周りの状況をよく観察しているよう。強い子孫を残してほしい」と牧場スタッフの工藤和司さん(39)。
種付け料は初年度は600万円からスタートする。生まれた子供の活躍とともに料金が跳ね上がる仕組みだ。社台SS事務局の徳武英介さん(51)は「申し込みや問い合わせは相次いでいて今年は150頭ほどの予定がすでに決まっています。質の高い“花嫁候補”が集まっていて、将来に期待できます」と話している。
オルフェーヴルとはフランス語で「金細工師」の意味。黄金に輝く新たな道を築き、果たすことのできなかった凱旋門賞制覇の夢を、来年以降に生まれる2世へと託す。(写真・文:写真報道局 鈴木健児/SANKEI EXPRESS)