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【冷凍食品に農薬】フード・テロ 犯行手口の解明不可欠

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【冷凍食品に農薬】フード・テロ 犯行手口の解明不可欠

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アクリフーズ群馬工場の内部。商品の包装がほぼ完了し、外袋に穴や傷などがないかを従業員が確認している=2012年12月5日(冷食タイムス提供)  アクリフーズ群馬工場の農薬混入事件で、群馬県警は1月25日、工場に勤務する契約社員の男を逮捕した。阿部利樹容疑者は容疑を否認しているが、待遇に不平不満を漏らしていたとも。「フード・テロ」はどうやって行われたのか。消費者の不安を解消するためにも、混入方法の解明が不可欠だ。

 「不審な男がいる」

 きっかけは1本の110番通報だった。アクリフーズ群馬工場から東南へ30キロ余りにある埼玉県幸手(さって)市内の駐車場から架電されていた。1月24日午後8時ごろ、通報を受け、埼玉県警の捜査員が自転車を持ってうろついていた男に声をかけた。すぐに、15日に捜索願が出ていた阿部利樹容疑者(49)と判明する。

 阿部容疑者は軽装で、着替えなど約10日間の“逃亡”に必要となりそうな所持品はなかった。2005年10月から群馬工場で勤務していた阿部容疑者は今月(1月)14日から行方不明となっていた。阿部容疑者は昨年(2013年)10月3~7日、4回にわたり、「チーズがのびーるグラタンコロ!」「チーズがのびーるチキンナゲット」「とろーりコーンクリームコロッケ」などにマラチオンを混入したとされる。いずれも大人から子供まで広く人気がある商品が狙われた。

 「包装室」で混入か

 事件は昨年(2013年)12月29日に表面化。当初から「内部犯行」の可能性がささやかれてはいたが、県警はどうやって阿部容疑者にたどりついたのか。

 県警はまず製造から包装までのどの段階でマラチオンが混入されたのかを重点的に捜査。マラチオンはピザやフライなど1、2階の複数の製造ラインで検出されていたが、すべて包装は1階の「包装室」。

 コロッケの一つは、外側の衣部分から2万6000ppmの高濃度で検出されたのに対し、内側は4000ppmだったため、食品を加熱処理する加工過程ではなく、包装直前に混入された疑いが強まった。包装室では約80人が作業に従事していた。

 次に「犯行時間帯」の特定だ。マラチオンは昨年(2013年)10月4日~11月5日のうち少なくとも計9日間で製造された7商品9個から検出された。これらは別々に製造されていたが、2時間単位の製造時間帯が特定できた。このすべての製造過程に立ち会っていた従業員や元従業員をリストアップし、数十人に絞り込んだ。

 ライン間移動に死角?

 立件への壁となったのは犯人がマラチオンを混入させたことを示す明確な証拠だった。どこで、どのように農薬を混入させたのか解明できなければ、混入と容疑者という「点」を「線」で結ぶことはできない。

 複数の従業員の証言によると、工場内での作業着にはポケットがなく、私物を持ち込むのは難しいという。さらに製造時は、従業員が異なるライン間を行き来できない。ただ、ある男性従業員は「袖口などにポリ袋を忍ばせることはできたかもしれない」と話す。包装時はライン間の移動が物理的には可能だった。そこに「死角」があったのか。

 「包囲網」が徐々に狭まるなかで突如、行方をくらませたのが、犯行を行えるすべての条件に該当する阿部容疑者だった。

 ≪阿部容疑者、給与に愚痴こぼす≫

 勤務先の工場で冷凍食品に農薬を混入したとして偽計業務妨害容疑で逮捕された阿部利樹容疑者(49)は、自分から職場の同僚に話し掛ける社交的な性格で知られる一方、給与など待遇に不満を漏らすこともあった。

 出荷した商品から農薬が検出されたアクリフーズ群馬工場には2005年10月から勤務し、一貫してピザ生地などの製造を担当していた。同僚の男性は「よくしゃべる人。休憩時には他の製造ラインに顔を出していた」と話す。

 契約社員だったためか、給与について愚痴をこぼすこともあった。昨年(2013年)夏も同僚にボーナスの額を尋ね、自分の方が低いことを知ると「やってられない」とつぶやいたという。周囲から仕事のことで注意され、大声で言い返すこともあった。

 自宅の近所ではクワガタムシやカブトムシを熱心に世話する昆虫好きで知られた。近くの男性(60)は息子が小学生のころ、阿部容疑者からクワガタをもらったことを覚えている。「クワガタを求めて海外まで足を延ばしたと聞いた」と話す。

 使っていた大型スクーターにはスピーカーが取り付けられていた。通り掛かった男性(75)が「すごいですね」と声を掛けると、得意そうな表情を浮かべたという。(SANKEI EXPRESS

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