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胃腸炎はノロウイルスだけではない 大和田潔

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胃腸炎はノロウイルスだけではない 大和田潔

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 【青信号で今週も】

 給食やレストランでの食中毒や、ホテルなど人が集まるところでの集団感染で社会をにぎわしているノロウイルス。胃腸炎が起きると即、ノロウイルスではないか、と考えてしまいがちです。クリニックでも、年末から急性胃腸炎の方がたくさんいらっしゃっています。

 前日の夜は元気で、朝少しだるいぐらいだったので出社したところ、昼すぎには高熱とともに吐き気や下痢で動けなくなってしまう、といった急性の経過をたどる方が大勢いらっしゃいました。ほとんどの場合、高熱は初日のみで、適切な対応を取ると数日で改善していきます。

 よくうかがってみると、微妙に症状が異なっていることがわかります。実は、感染性胃腸炎を起こすウイルスには、多くの種類があります。のどに感染して、激しいのどの痛みや鼻汁とともに高熱が出てから下痢を繰り返すアデノウイルス。もともと鼻かぜやのどの炎症のウイルスですが、胃腸にも感染して胃腸炎を起こします。人によっては結膜炎も起こすため、目やにや白目の充血などがみられます。アデノウイルスだけでもノロウイルス同様たくさんの型があります。

 便が白色っぽい水のようになってしまったという女性もいらっしゃいました。小さい子供さんがいらっしゃるお母さんで、たぶんロタウイルスというウイルスだと考えられます。ロタウイルスの急性胃腸炎は、少し症状が長引くことがあり、熱や嘔吐(おうと)が引いても人によっては1週間ぐらい下痢症状が続くことがあります。秋に流行するエンテロウイルスも下痢を引き起こします。引き続いて無菌性髄膜炎を起こして、頭痛と高熱が続くことがあります。そのほかにも、アストロウイルスやサポウイルスやなどさまざまなウイルスが原因となります。

 実際、ノロウイルスをチェックしても陰性だったという方もいらっしゃいました。どの胃腸炎でも「ちょっとだるくて胃がむかむかする」程度のことや症状があまりないことすらあります。無症状の方もいらっしゃるとすると、感染を完全に予防することはとても難しくなります。きちんと休養をとって体の抵抗力を保ちながら、手洗いとうがいに励むことにしましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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