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「犬税」で飼育に歯止め 殺処分なし

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「犬税」で飼育に歯止め 殺処分なし

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 【世界人間模様】

 日本では毎年多くの犬猫が殺処分され、この数をいかに減らすかが大きな課題になっている。一方、ドイツでは一部例外を除き、殺処分は行われていない。動物愛護団体の保護施設が全国にあり、犬を飼う際には税金が課され、安易な気持ちで飼わないよう心理的な歯止めをかける。

 ドイツ、保護施設充実

 総面積16ヘクタールの広大な敷地に、約1500匹の動物が暮らす。首都ベルリン郊外の「ティアハイム・ベルリン」は欧州最大の動物保護施設だ。1年間に保護する動物は延べ1万2000匹を超す。

 動物愛護団体が運営し、年約700万ユーロ(約9億8700万円)の予算のほとんどを寄付金で賄う。広報担当のベアテ・カミンスキさんは「行政からの委託で動物を預かる際に徴収する手数料を除けば、公的な補助金は一切受けていない」と説明する。

 捨てられたり、飼い主からはぐれたりした犬猫だけでなく、馬や牛、イグアナやヘビも保護し、引き取り手が現れるまで世話をする。治る見込みがない病気で安楽死させる以外、殺処分することはなく、施設で一生を終える動物も多い。

 1匹目120ユーロ、2匹目180ユーロ

 ドイツの動物愛護団体の歴史は古く、ベルリンでは1841年に設立された。同様の団体は全国で1500以上ある。

 日本のようなペットショップはドイツにはほとんどなく、犬や猫を飼いたければ、ブリーダーや保護施設から譲り受けるのが一般的だ。

 ティアハイムでは希望者の家族構成、住環境などを尋ね、飼育できると判断したら有料で引き渡す。交際相手の女性と一緒に訪れていた男性(26)は「もう1匹飼いたくてね」と、好みの犬を探していた。

 犬の数を一定に抑える措置として、飼うためには「犬税」を払う必要がある。税額は州により異なるが、ベルリンでは1匹目は年間120ユーロ、2匹目からは180ユーロに上がる。猫など他の動物には適用されない。

 日本は年間17万匹超処分

 日本の環境省によると、日本では2011年度に約17万5000匹の犬猫が殺処分された。減少傾向にはあるものの、捨てられたペットが今も犠牲になっている。

 ドイツの大型スーパーには余ったドッグフードなどを寄付してもらうための籠が置かれ、保護施設に送られる。餌代を節約できる社会的仕組みが整っており、ティアハイムはドイツだけでなく、トルコとウクライナの野良犬も保護している。(共同/SANKEI EXPRESS

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