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日本を支えるエネルギー計画「本番」 安倍首相、原発再稼働に前向き答弁

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日本を支えるエネルギー計画「本番」 安倍首相、原発再稼働に前向き答弁

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衆院予算委員会で答弁する安倍晋三(しんぞう)首相=2014年2月10日、国会(酒巻俊介撮影)  安倍晋三首相(59)は2月10日の衆院予算委員会で、政府が原発政策も含めて策定中のエネルギー基本計画について「現実を見据え、責任をもって実現可能かつバランスの取れたものを取りまとめる」と述べた。東京都知事選で脱原発を主張した候補が敗れたのを受け、原発再稼働に前向きな姿勢をにじませた発言とみられる。

 衆院予算委は首相と全閣僚が出席して2014年度予算案の基本的質疑を行い、実質審議入りした。与党は2月末までの衆院通過を目指す。

 首相は将来の電源構成について「新たなエネルギー基本計画を踏まえ、再生可能エネルギーの導入状況や原発再稼働の状況を見極め、できるだけ早くベストミックスの目標を設定する」と指摘した。原発輸出にも積極姿勢を見せ「相手国の意向や事情をしっかり踏まえ、技術だけでなく制度整備や人材育成への支援も行っていく」と語った。原子力規制委員会の規制基準を継続的に見直していく方針も示した。

 都知事選で脱原発が争点の一つとなったことを踏まえ「エネルギーの大消費地である東京が科学技術を駆使して省エネを進めることは国にとっても重要だ」とも述べた。

 北方領土問題に関しては、「日露両国の国民の交流、経済関係を深める中で北方四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結するという最終的な結果を得る歴史的な使命を果たすべく全力を尽くす」と強調。その上で「両国の次官級協議を加速させた上で、最終的に首脳間で結論を出すことが求められる」と述べた。

 ≪舛添氏勝利で追い風 月内にも閣議決定≫

 2月9日投開票の東京都知事選で「原発即時ゼロ」を前面に打ち出した細川護煕(もりひろ)元首相(76)らを、即時ゼロに距離を置く舛添(ますぞえ)要一元厚生労働相(65)が破ったことで、エネルギー政策の議論が再び始まる。政府は、原発の活用方針を明記したエネルギー基本計画を早ければ2月中にも閣議決定させる方針で、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で持ち直しつつある日本経済を下支えしそうだ。

 「国民生活、そして経済活動を支える責任あるエネルギーを構築していくという大きな責任がある」

 安倍首相は10日の衆院予算委員会で、エネルギー政策の重要性を強調した。

 安倍政権発足後、民主党政権下で混乱したエネルギー政策の立て直しが進んだ。昨年(2013年)12月には、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけるエネルギー基本計画案を経済産業省が取りまとめ、1月中の閣議決定を目指していた。

 だが、突如として都知事選で脱原発が争点の一つになり、基本計画の策定は事実上ストップ。与党内の「原発推進色が強い計画を閣議決定すれば選挙戦に不利に働く」という声に配慮したのが実情で、舛添氏の勝利で政府・与党は計画の閣議決定に向けた詰めの議論を本格化させる方針だ。

 折しも都知事選の選挙戦最終日の8日は、東京電力の電力使用率(供給力に占める使用電力の割合)が「厳しい」とされる95%に達した。記録的な大雪で外出を控えた人たちの暖房需要が高まったとみられ、原発の再稼働がなければ電力需給に不安が残る実態を浮き彫りにした。

 経団連の米倉弘昌会長(76)は10日、細川氏の敗因について「具体的な方策を示さずにただ反対というのは具合が悪かった」と指摘。同時に「再稼働で安定的な電力の供給が可能になる」と再稼働の必要性を訴えた。

 電力業界の関係者も舛添氏勝利に安堵(あんど)の表情を浮かべる。「脱原発」を唱える細川氏が当選すれば、各社が待ち望む原発再稼働が遠のく恐れがあったからだ。

 「建設的な議論ができる人という印象だ」。東電幹部は舛添氏をこう評した。

 自民党幹部は「電力需給が不安定になれば、アベノミクスにも大きな影響を与える」と述べ、都知事選で立ち止まったエネルギー政策の議論の前進に期待を込めた。(SANKEI EXPRESS (動画))

 ■エネルギー基本計画 電力や石油を安定して確保するための政策の中長期的な指針となる計画。エネルギー政策基本法が政府に策定を義務づけている。経済産業相が総合資源エネルギー調査会の意見を踏まえて案を作り、閣議決定の対象となる。3年をめどに見直す。民主党政権は原発ゼロに向け、2010年6月に決まった現行計画の改定に着手したが意見を集約できなかった。安倍政権発足後に総合資源エネルギー調査会の顔触れが変更され、調査会の基本政策分科会は昨年(2013年)12月、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づける表記を盛り込み、再稼働など原発の活用方針を明確化した案をとりまとめている。

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