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社会
【大雪再び】交通網寸断 依然5000人以上が孤立
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2月15日未明から車が立ち往生している群馬県安中市と長野県北佐久郡軽井沢町を結ぶ国道18号線のバイパス=2014年2月17日午後、長野県北佐久郡軽井沢町(桐原正道撮影) 関東甲信と東北で2月14日から降った記録的な大雪の影響で17日午後、道路の通行止めなどで依然として5000人以上が孤立している。山梨県内は交通網が寸断され、食料品を含む物流も滞っており、ヘリコプターでの空輸も始まった。甲信各地の道路では車の立ち往生が続いた。
山梨県では早川町全域の約1200人や、富士河口湖町のホテルの宿泊客ら約150人が孤立。身延町でバス計10台が立ち往生し、乗っていた中学生らが近くの公民館などに一時避難した。JR中央線計8本も動けなくなったが、除雪が進み、徐々に救出が始まった。
このほか、宮城県丸森町でも約2400人が移動できなくなった。東京都内では奥多摩町、檜原村、青梅市で計約1370人が孤立。群馬県南牧村は道路の除雪が進み、孤立状態の住宅は200戸以下となった。埼玉県秩父市と小鹿野町で計約560人、静岡県小山町で55人が孤立した。
山梨県は首都圏とつながる中央道や国道20号の通行止め、JR中央線の運休が続いた。甲府市内などでは多くの客が食料品を買い求め、在庫がなくなる店舗もあり、ヘリによる食料の緊急搬送も始まった。
道路は中央道のほか、関越道や上信越道なども雪による通行止めが続いた。国道20号は山梨県内で約200台、長野県内で約100台が立ち往生。長野県と群馬県の間の国道18号は、群馬県側の上りで除雪が終わったが、長野側で約300台が引き続き動けなくなっている。
JR東日本は17日、中央線の特急上下計60本全てを運休した。
≪「これほどの雪は初めて」 丸2日以上立ち往生、菓子類で空腹しのぐ≫
長野・群馬県境の国道18号では2月17日も大雪のため、車両の立ち往生が続いた。長野県軽井沢町や群馬県安中市では、公民館などに臨時の避難所を開設。降雪には慣れた地域でさえも「これほどの大雪は初めて」という異常事態で、住民らの協力を得て炊き出しなどを行い、運転者やバスの乗客らへの支援に奔走した。
トラック運転手の五十嵐宏一さん(39)は長野県佐久市から千葉県成田市まで向かう途中の(2月)15日午前2時ごろ、軽井沢町の国道18号で立ち往生に巻き込まれた。雪はみるみる降り積もり、あっという間にトラックのタイヤを覆い尽くした。夜が明けてからコンビニに行ったが、おにぎりなどは売り切れ。菓子類などを買って空腹をしのいだほか、たまたま近くにあった知り合いの民宿を訪ね、食事を提供してもらったという。立ち往生は丸2日間以上。五十嵐さんは「土曜(15日)必着の荷物だったので参った。食事やトイレに不自由はないが、基本的に車内にいるので、身体を動かせないのがつらい」と話した。
国土交通省長野国道事務所によると、車両の立ち往生は(2月)15日未明から始まり、17日午後2時現在も軽井沢町では約5キロにわたり約400台が動けない状態が続いた。担当者は「除雪車がようやく到着して懸命に除雪している。何とか今日中に解消したい」と話した。
軽井沢町役場では(2月)15日に、近くの公民館と軽井沢駅の計6カ所に避難所を開設。地元住民の協力を得て、おにぎりや豚汁などを提供したほか、毛布なども用意し、一夜を明かした人もいた。町職員は「ここまでの大雪は初めてで、これほど大規模な避難所運営も初めて。いつまでこの状況が続くか分からないので心配」と不安そうに話した。安中市でも16日以降、6カ所で避難所を運営、水などの提供を行っている。
軽井沢町の民宿「浅見荘」では16日朝から立ち往生している観光バスの乗客らにうどんなどの炊き出しを行った。女将(おかみ)の土屋朋子さん(35)は「すぐ動くと思ったら、なかなか動かなかったので大変なことになったと思った」と話した。周辺では農家のプレハブ小屋などが積雪で押しつぶされているという。
郵便業務もまひ状態に陥った。軽井沢追分郵便局長の依田(よだ)功さん(55)は「窓口業務だけやっているが、出歩ける状況ではなく、ほとんど人は来ていない。こんな大雪は初めてで驚きを通り越している」と話した。(SANKEI EXPRESS (動画))