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ステージ構成力 劇的に向上 ホセ・ジェイムズ

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ステージ構成力 劇的に向上 ホセ・ジェイムズ

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アーティストのホセ・ジェイムズ=2012年5月17日(提供写真)  昨年(2013年)のグラミー賞受賞者ロバート・グラスパー、そして今年のグラミー賞受賞者グレゴリー・ポーターとともに、ジャズの名門レーベル「ブルーノート」を代表する若手アーティストの一人、ホセ・ジェイムズ。彼が1年ぶりの来日公演を行った。ホセは、世界的にその名を知られるクラブジャズDJ、ジャイルス・ピーターソンに見いだされ、彼が運営するインディーズレコード会社「ブラウンズウッド」からデビューしたジャズボーカリスト。ファーストアルバムでは、名曲「チュニジアの夜」をカバーするなど往年のジャズファンにもアピールする本格派志向であったが、一昨年ブルーノートに移籍後はR&Bやソウルの影響を取り入れ、新しい時代のジャズアーティストとして一気に認知を高めた。

 心憎い演出の数々

 今回の来日は、そのブルーノート盤「ノー・ビギニング・ノー・エンド」発売後、1年間にわたったツアーの最終公演。オープニングアクトとして筆者もDJプレーを行ったが、一番驚いたのは、ステージの劇的な構成力の向上だ。ホセのボーカルの素晴らしさはもちろんのこと、MC、曲順、アンコールを含めた流れと間合いといった練りに練られたショーの完成度の高さに舌を巻いた。

 導入部からダンサブルなリズムでオーディエンスを引き込むと、時に自らギターをかき鳴らし、ヒット曲ではレコードの逆回転を口まねした得意の人力サンプリングを披露する。思い切ってメンバーのソロ演奏を拡張したコーナーがあるかと思えば、後半は女性弦楽器奏者5人をフィーチャーし、ワルツ的なバラードで場内を美しい歌声で包み込んだ。さらには初期からのファンにはたまらないクラブ系アーティストとのコラボ曲もしっかりとプログラムにも組み込むという心憎い演出までが用意されていた。

 M・デイビスほうふつ

 こうして、シンガーとしてだけでなく、バンドアクトとしての進化も見せつけてくれたホセは、パフォーマーとして、そしてチームリーダーとしてもスケールアップしている。その証明として、バンドメンバーでもある黒田卓也は、ブルーノートの長い歴史で日本人として初めて米本国で契約し、ホセのプロデュースでソロアルバムを2月12日にリリースしたばかりだ。

 また、ドラマーのリチャード・スペイブンは、ブルガリアの女性ボーカリスト、ルス・コレバをプロデュースするなど、ホセ周辺は単なるサポートメンバーではなく、個々がクリエーターとして積極的に活動している。彼らはホセとのツアーでそのクリエーティビティーに触発されたに違いない。ボーカリストでありながら、曲によってはメンバーに大胆に主導権を委ね、ステージの端から彼らを見守るというホセの寛容さはメンバーを奮い立たせたことだろう。その姿に、数々の門下生を世に輩出したマイルス・デイビスを重ね合わせたのは僕だけではないはずだ。

 実は、大雪の日に、筆者がプロデュースする渋谷の飲食店にホセ本人が遊びに来てくれた。何と自らがDJを買って出て、秋に発売されるというニューアルバムを先行披露してくれたのだ。新しい音源はロックやブルースの要素も導入し、荒々しさや泥臭さを身につけた新しくも懐かしいにおいがしている。今以上に幅広い年齢層やリスナーを獲得すべく彼の世界が拡張されている印象を持った。

 あと半年も待ちきれないのだが、今は「ノー・ビギニング・ノー・エンド」の余韻に浸っていたい。1年のツアーの成果で、楽曲の魅力を再認識できたからだ。ライブは、音楽家にとって音源が売れなくなって減った収入を補完するためのものではないということをホセが教えてくれたような気がする。(沖野修也/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■Jose James 世界的クラブDJのジャイルス・ピーターソンが見いだしたシンガー・ソングライター。2008年にデビュー後、ジャズをベースにしながらもジャンルを飛び越え、包み込む甘くセクシーなバリトンボイスで世界から絶賛された。12年ブルーノートに移籍し、ソウル/R&B色の強い作品を発表。シングルが日本でも大ヒットした。新世代ジャズを代表するアーティスト。

 ■おきの・しゅうや クリエーティブ・ディレクター/DJ/執筆家。著書に『DJ選曲術』や『クラブ・ジャズ入門』など。1月発売の『DESTINY replayed by ROOT SOUL』がiTunesダンス・チャート1位を獲得。今年、沖野修也DJ25周年を迎える。

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