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中台トップ会談 実現なお不透明

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中台トップ会談 実現なお不透明

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中台関係の主な動き=1949年12月~2014年2月  【国際情勢分析】

 中国の習近平国家主席(60)は2月18日、北京を訪問した台湾の与党、中国国民党の連戦(れん・せん)名誉主席(77)と会談した際、台湾の馬英九(ば・えいきゅう)総統(63)との間で中台トップ会談を行うことに前向きな姿勢を示した。1949年の中台分断後、互いに相手の主権を認めない中台両政府の最高指導者による会談が実現すれば、東アジアの国際情勢に大きな影響を与える歴史的な出来事である。しかし、会談をめぐり双方の思惑に大きな食い違いがあり、実施できるかどうかはなお不明な状態である。

 「対等な立場」と習氏

 中国メディアによると、習主席は連氏に対し、馬総統との会談について「政治家個人や政党のためではなく、両岸(中台)人民の福祉のために会いたい」と述べた上で、「一つの中国の枠組みの中で、私たちは台湾と対等な立場で交渉したい」とも発言した。

 「台湾と対等の立場で交渉する」とは、かつての最高実力者の●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい、1904~97年)が1970年代末によく口にした言葉だった。当時、中国の経済力も国際社会における影響力も小さく、台湾側との政治対話を開始するのに、相手にとって良い条件を出さなければならない事情があった。しかし、当時の台湾の蒋経国政権もその後の李登輝政権も中国側のこうした呼びかけを拒否し続けた。

 2000年以降、台湾の経済面で中国に対する依存度が高まるのにつれ、中国の指導者の台湾に対する態度は高圧的となり「台湾は中華人民共和国の一部」と強調するようになった。習主席はこの日、連氏に対し敢えて「対等な立場」という古い表現を使ったのは、台湾側に対して政治対話を早期に開始したい姿勢を示す思惑があるとみられる。

 馬氏、歴史的評価を意識

 1980年代に本格的に始まった中台交流は、経済、文化分野が中心で、政治交渉は停滞していた。台湾側に「中国にのみ込まれる」という不安があり、政治交渉に対し消極的な姿勢を示したことが原因だといわれる。

 しかし、最近、にわかに現実的になった習主席と馬総統のトップ会談を提起したのは台湾側だった。馬総統は2013年末、香港の雑誌の取材に対し、14年秋に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて訪中し、習主席と会談したい意向を示した。

 支持率が低迷している馬総統はトップ会談を通じて、中国からよりよい経済的な譲歩を引き出し、台湾経済の活性化につなげたい思惑がある。さらに2期目の任期が16年春に切れる馬総統は、自身の歴史的評価を意識しており、中国と歴史的な和解をすることで実績を残したい思惑があると指摘される。

 しかし、中国側は馬総統のAPECで会談する提案に難色を示している。「台湾問題は中国の内政」と主張する中国は、国際会議の場で台湾側と交渉するのを避けたい思惑がある。

 警戒強める米国

 共産党筋によれば、中国側が今回の連氏訪中を重要視した背景には、連氏の影響力を通じて、馬総統に対し別のタイミングでの訪中を促したい思惑があるが、今のところ、馬総統は受け入れる考えはなさそうだ。

 また、「中華民族の偉大なる復興」を政権スローガンに掲げる習政権は、中台のトップ会談は歴史的な和解が目的ではなく、「中国統一の第一歩」として捉える傾向がある。経済問題で譲歩するが、事前交渉で「台湾独立を認めない」といった政治的な要求を馬総統に突きつける可能性がある。台湾の独立勢力の反対を気にする馬総統は簡単に受け入れないとみられる。

 習主席は連氏との会談で、自らの政権スローガンである「中国の夢」を強調し、連氏に対し「中華民族の結束の必要性」を繰り返して訴えた。連氏も「中華民族が復興する中で、台湾も積極的な役割を果たしたい」と応じた。しかし、民族主義を全面的に打ち出して台湾問題を解決しようとしている習主席の姿勢に対し、馬政権に大きな影響力を持つ米国は警戒を強めている。米国が馬総統に対し習主席と会わないように圧力を加えているとの情報もある。(中国総局 矢板明夫(やいた・あきお)/SANKEI EXPRESS (動画))

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