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中台公式会談 新次元の中台 「政治対話」で綱引き

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中台公式会談 新次元の中台 「政治対話」で綱引き

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中台関係の主な動き=1949年12月~2014年2月  ≪分断後初 主管官庁トップが公式会談≫

 台湾で中国政策を主管する行政院大陸委員会の王郁●(=王へんに奇)主任委員が初めて中国を訪れ、江蘇省南京市で2月11日、国務院台湾事務弁公室の張志軍主任(いずれも閣僚級)と公式に会談した。主管官庁トップ同士の公式会談は1949年の中台分断後、初めて。

 会談後に記者会見した王氏によると、台湾の馬英九総統と中国の習近平国家主席との会談は議題にならなかった。双方の主管官庁のトップ級の相互訪問を含む対話メカニズムを構築することでは合意したが、中国で拘束された台湾人への「領事面会権」については引き続き検討することとなった。

 会談冒頭、張氏は「両岸(中台)関係の後退を絶対に繰り返さないとの決心をすべきだ」と述べた。王氏は「両岸関係は新たな章に入った」とし、張氏に訪台するよう求めた。

 中国側は、今年秋に北京で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場を利用し、習主席と馬総統による初の中台首脳会談開催を模索している。

 中台は互いの主権を認めず、これまでは“民間”窓口機関を通じて経済分野で交流してきた。馬政権下で始まった台湾の対中接近は新たな段階に入った。

 中国は軍事的敵対状態の終結に向け、平和協定などを話し合う「政治対話」を要求、悲願とする台湾統一への流れを作りたい考えだ。台湾側は公式会談で覚書の調印などは行わないとして政治対話へのシフトを警戒してきた。(南京 河崎真澄、台北 吉村剛史/SANKEI EXPRESS (動画))

 ≪新次元の中台 「政治対話」で綱引き≫

 初の公式会談の実現は、中台関係が「新たな次元」を迎えた歴史的意味を持つ。世界第2の経済規模を誇る中国との関係が欠かせなくなった台湾だが、いかに拒否姿勢を貫こうとも、中国の政治対話に引きずり込まれる懸念は強まる一方だ。

 馬政権は2010年、経済協力枠組み協定(ECFA)を中国と締結、中国市場に対する経済依存度は一気に高まった。1971年に国連を脱退し、バチカン市国など22カ国としか外交関係がない特殊な国際政治環境にある台湾だが、住民の85%が「現状維持」を望んでいる。共産党政権下の中国との「統一」にも拒否反応が強い。経済的実利は欲しいが、それ以上の対中関係拡大は先延ばししたいのが実情だ。

 だが昨年(2013年)10月、APEC首脳会議が開催されたインドネシアで、台湾の蕭万長(しょう・ばんちょう)前副総統と会談した習近平国家主席は「中華民族の偉大な復興の共同促進へ政治的な意見の相違を解決し、次の世代に残してはならない」と強調し、政権任期中に統一の道筋にめどをつけるとの政治的な意思を示した。

 中国側は台湾統一工作の基本を「先経後政(まず経済、その後に政治を)」と位置づけてきた。当局間公式協議のスタートは中国にとって、「その後」のステップに入ることを意味する。習指導部は今秋、北京で開かれるAPEC首脳会議に馬総統を何らかの肩書で招き、歴史的な首脳会談に臨み、国際社会に「両岸(中台)関係の前進」をアピールするシナリオを描く。

 政治対話を一貫して拒む姿勢の台湾に対し、公式協議で政治対話が進展しなければ、中国は“アメ”だけではなく、軍事力など“ムチ”もちらつかせる危険性がある。11日の公式会談で中国側はまだ“アメ”の笑顔を続けたが、APECを控えて強硬に政治対話を求めるのは必至だ。

 中国は香港と同じく「一国二制度」での統一を狙っている。しかし、2300万人の住民を抱える民主主義社会の台湾を取り込んだ場合、中国社会がいつまで共産党の一党支配体制を容認し続けるかは不透明だ。台湾問題への対処を一歩間違えば、中国国内で社会不安を引き起こす懸念もあり、その意味から中国も大きな決断に踏み切った形だ。(南京 河崎真澄/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■中台公式会談 中国と台湾の交渉はこれまで、当局間の直接交渉ではなく、相互の民間窓口機関や政党間対話を通じて行われてきた。互いに相手側の主権を認めていないためで、中台関係は国際関係を扱う外交部門ではなく、双方の専門の担当部門が処理している。

 【中台関係の主な動き】

1949年12月 蒋介石率いる国民党政権が中国共産党との内戦に敗れ、台北に移る

1939年4月  中台の交流窓口機関トップがシンガポールで初会談

1999年7月  台湾の李登輝総統が「二国論」提起

2000年5月  台湾で民主進歩党(民進党)初の陳水扁政権発足

2005年4月  国民党の連戦主席と中国共産党の胡錦濤総書記が北京で60年ぶり国共トップ会談

2008年5月  台湾で国民党の馬英九政権発足

2008年6月  北京で10年ぶり交流窓口トップ会談

2008年7月  中国人の台湾団体観光解禁

2008年12月 三通(通信、通商、通航の直接解放)実現

2010年6月  経済協力枠組み協定(ECFA)調印

2013年10月 主管官庁トップがインドネシアのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で初顔合わせ

2014年2月  主管官庁トップが中国・南京で初の公式会談

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