ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
エンタメ
主人公の心理を体感して エウヘニオ・ミラ監督 映画「グランドピアノ 狙われた黒鍵」
更新
「ピアノを習ったのは3~4歳のとき。僕にとって一つの言語として身につきました」と語るエウヘニオ・ミラ監督(スキップ提供) 作曲家と映画監督の二足のわらじを履くスペインのエウヘニオ・ミラ監督(36)が手がけた新作「グランドピアノ 狙われた黒鍵」。密室のコンサート会場で「一音でも間違えたら殺す」と脅された主人公のピアニストと犯人の心理戦だ。ミラ監督は「物語に信憑性を持たせなければならない。映画作りは主人公の心理をリアルに体感してもらおうというチャレンジでした」と振り返った。
米シカゴ。ステージ恐怖症を克服しきれないまま、5年ぶりに復帰したピアニストのトム(イライジャ・ウッド)。恩師の追悼コンサートで、グランドピアノのブランド「ベーゼンドルファー」の最上級モデル「インペリアル」により、「演奏は不可能」とされる難曲「ラ・シンケッテ」を弾くことになった。演奏に没頭するトムは、ほどなく譜面に書かれた謎のメッセージに気づき、姿なきスナイパー(ジョン・キューザック)が自分に銃口を向けていることを知る。
ミラ監督が撮影で気を配ったのはカメラワークとタイミングだ。「舞台となったコンサート会場では同時にいろんなことが起きますし、ピアノ演奏がずっと続く多音な映画でもあるから、私たちはいろんなアイデアを見せることができます。起きていることをすべて追いかけて伝えるサイレント映画のスタイルに近いですね。演奏中のトムとスナイパーのイヤホンを通したやりとりでは、カメラワークがマイクの役割をしている場面すらあります」
プロの目で見たウッドのピアノ演奏については、「一緒にカラオケに行ったとき、ウッドにはリズム感があり、素質はあると感じました。幼少期に習ったピアノはすべて忘れてしまったらしいですが。もちろんピアノのコーチを付けたから、撮影ではピアノ演奏の90%は彼が演じています」と満足そうに語った。
演奏中の主人公が受けたプレッシャーは相当なものだが、ミラ監督はプレッシャーをどうはねつけてきたのか。「僕が緊張するのは、映画の企画や脚本が通るかどうか気をもむときだけ。大切なのは結果をあまり考えず、まずは映画をどんどん撮ることだと思います」。3月8日、東京・新宿のシネマカリテほか全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)