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経済
姿見せた?サトシ・ナカモト ビットコイン考案の日系米国人か 一転否定
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米カリフォルニア州 インターネット上の仮想通貨ビットコインの考案者とされる「サトシ・ナカモト」氏について、複数の米メディアが3月6日、その“謎の顔”を暴いた。米ロサンゼルス近郊テンプルシティに住む64歳の日系米国人男性で、暮らしは質素だが推定4億ドル(約412億円)相当のビットコインを保有する“大富豪”であることなどが明かされた。だが、男性は当初、ビットコインとの関わりを示唆したが、取材が殺到すると「メディアに誤解された」と関与を否定するなど謎が深まっている。
ナカモト氏とみられる人物を最初に突き止めたのは米誌ニューズウィーク(電子版)だった。記事によると、ナカモト・サトシは本名で、1949年、大分県別府市に男3人兄弟の長男として誕生。59年、再婚した母に連れられカリフォルニア州に移住した。93歳の母は今も彼と2階建ての民家に暮らす。
10代から鉄道模型の収集が趣味。物理学を学んだカリフォルニア州立工科大学ポモナ校を卒業後、「ドリアン・S・ナカモト」と名乗っている。南加州にある防衛・通信企業の就職試験を受けたが、3兄弟の末っ子で、機械メーカーの管理職を務めるアーサー氏は「『お前はばかだ』と面接官を罵倒し、その理由を説明して合格した唯一の人物だろう」と、その変人ぶりの一端を明かした。
ナカモト氏は1980年代に結婚。6人の子宝に恵まれ、防衛産業や米政府関連企業の機密業務に就いたが、変人ぶりがたたってか、90年代に2度の解雇を経験した。住宅ローンや税金が払えず自宅を失い、2002年以降定職に就いていないという。
その経験が、政府や中央銀行に管理されないビットコインという発想を生んだようだ。ナカモト氏の長女、アイリーン・ミッチェルさん(26)は「私が商売したいと言った時、父は『政府の言いなりになるな』と励ましてくれた。政府や税金を非常に警戒していた」と話した。
電子メールのアドレスを手がかりに自宅を突き止めたニューズウィーク誌の記者が訪問すると、ナカモト氏は、どこかおびえた様子で警察に通報。警察官立ち会いのもと、ぼさぼさ頭にしわだらけのTシャツ、古いジーパン、白の靴下姿で、靴を履かないまま取材に応じ、「ビットコインの管理はもうほかの人々の手に委ねられている。自分は一切関与していないので何も話せない」と述べてビットコインへの関与を事実上認め、それ以上の取材を拒んだという。
この報道の数時間後、ナカモト氏の自宅には報道陣が殺到した。ナカモト氏は「ランチをおごってもらうのが先だ」と話し、寿司を食べながら取材したいと申し出た1人の記者を選択。それがAP通信の記者で、2人は車でロスの中心街に向かい、多くの記者の車が追い回す激しいカーチェイスが展開された。
ところがAP通信の取材に対し、ナカモト氏は一転、「私があたかも以前ビットコインに関与しており、いまはそうではなくなったかのような印象を与えたが、誤解だ。ビットコインには関与していない」と前言を翻し、関与を全面否定。さらに「この大騒ぎはいつまで続くんだ」とあきれてみせた。
ビットコインは「サトシ・ナカモト」を名乗る人物がインターネット上で発表した論文を元に、賛同者らが開発したとされる。ナカモト氏が誰かをめぐっては、日本や米国の大学教授説や複数の人物による偽名説などが出ていた。その謎をスクープしたニューズウィーク誌は、3月7日発売号から米国内で12年12月末に停止した紙媒体の発行を再開。それをアピールする特ダネとなったが、謎は逆に深まったのかもしれない。末っ子のアーサー氏はこう話した。
「兄は優れたエンジニアだが、とんでもない野郎だ。兄の人生はしばらく完全な空白だった。誰も兄(の謎)には到達できない。すべてを否定し、ビットコインについても決して認めようとしないだろう」(SANKEI EXPRESS)