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少女たちの輝きを残したくて 山戸結希監督 映画「5つ数えれば君の夢」
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山戸結希(やまと・ゆうき)監督は「今はお客さんがどんな反応をするのかが気になって仕方がありません」と語る=2014年2月27日、東京都渋谷区の映画美学校(高橋天地撮影) 「幼い頃から『映画監督になろう』と思ったことは一度もなかった」という、ごく普通の女子大生が、ひょんなことから撮影、脚本、編集、ディレクションの技術を独学で身につけ、映画を何本も撮り、卒業後はそのまま「新進気鋭の映画監督」として歩み始めた。長編3作目となる女子高生たちの青春群像劇「5つ数えれば君の夢」の編集を終えたばかりの山戸結希監督(24)は、都内での試写会後、取材に応じ、「少女たちの輝きを映像におさめ、はるか未来まで残したいと思いました」と制作の意図を語った。
主演は、2010年に結成された10代の5人組ガールズ・ボーカル&ダンスグループ「東京女子流」(山邊未夢、新井ひとみ、庄司芽生、小西彩乃、中江友梨)。毎年ミスコンで盛り上がる文化祭を間近に控えた女子高校を舞台に、焦燥、不安、人間関係のもろさに翻弄される5人分の青春が、大阪が生んだ音楽集団「Vampillia」(ヴァンピリア)の奏でる音色に乗せて叙情的に切り取られている。
脚本も手がけた山戸監督は、どんな映画作りでも「役者さんの肉体が発信している存在不安を言語化して、脚本にしたうえで、演技として表現してもらう」というアプローチをとってきた。本作で主人公5人分のあて書きに臨んだ山戸監督は、頭の中に構築されたイメージを頼りに無心で脚本を書き上げたそうだ。
山戸監督をとりこにした映画の魅力とは何だろう。「今、どんなに何か輝くものがあったとしても、今とはすぐに過去になってしまう実に致命的なものです。ただ、映画という表現手法を利用すれば、例えば、もはや過去の存在となってしまった女子高生たちの輝く姿を、再び現在のものとして何度でもよみがえらせることができる。それが映画のメディアとしての強さだと思います」
さて、冒頭で触れたひょんなこととは、山戸監督が大学2年の時に受けた英語の授業での出来事だ。たまたま隣り合わせた友達から、山戸監督は映画研究会のサークルへの入部を勧められた。当時の映画研究会は廃れていて、次の部長もなり手がなかったという。「私は読書をしたり、映画、演劇を鑑賞することが好きだった。今はデジタルビデオ1個あれば映画が作れてしまう時代でもあるし、入部しました。結局、私が部長になってしまって…」。将来は哲学の研究者になろうと決めていた山戸監督のさらなる進化が楽しみだ。東京・シネマライズで公開中。大阪は5月3日からシネ・リーブル梅田で公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)