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似た性格で演じやすかった 映画「神奈川芸術大学映像学科研究室」 笠原千尋さんインタビュー
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「隠蔽の経験?_隠蔽なので明言は避けますが、あんなことやこんなことです」と語る、女優の笠原千尋さん=2014年1月15日、東京都品川区(野村成次撮影) 「神奈川芸術大学映像学科研究室」。いかにも作り手側の都合だけを優先させた、どこか独善的で、こざかしい、“芸術的”な香りが漂ってくる長いタイトルだが、蓋を開けてみれば、人間関係のあり方をしっかりと考えさせてくれる良質かつ実戦的な教科書だった。黒沢清(58)と大森一樹(61)の両監督に師事した新進気鋭の坂下雄一郎監督(27)が、東京芸大大学院映像研究科の修了作品として手がけた。
神奈川芸術大学映像学科の非常勤助手・奥田明(飯田芳)は、事なかれ主義の教授陣と、何かと問題を起こす学生たちの間で板挟みとなっていた。そんなある日、奥田は学生たちが大学の機材を盗み出している現場に遭遇。窃盗事件が表沙汰になることを恐れた教授陣はウソの報告書を作成するよう指示する。ところが、報告書の矛盾点が学内関係者から指摘されるや、事態は次々と悪い方向へ向かい…。
ウソを重ねざるを得ない奥田を尻目に淡々と自分の仕事をこなしていくクールな同僚、映像学科非常勤助手の安藤千春を演じたのが笠原千尋(23)。「自分とこんなにも性格が似た人物を演じるとは思いませんでした。私も真面目できちょうめん。学生時代は夏休みの宿題を早めに終えてしまうような女の子でしたよ。でも反面、『規則で決まっているから』とか、融通が利かないんですよね」。監督からは「淡々と真面目に演じてください」とだけ指示があったが、笠原は「私にとっては演じやすかったなあ」と声を弾ませた。
高校時代、芝居に魅せられ、いつか女優になりたいと真剣に考えるようになった。父は銀行員、母は教員。世間的には堅い職業に就いている両親が笠原の途方もない夢を許してくれるのだろうか? 「私の真面目さを信じて意外にも応援してくれたんですよ。大学時代は学外の演劇活動にのめり込んでしまい、学校にはあまり通わなくなってしまった」。目標ができると、実現へ向けてまっしぐら。2012年公開の主演映画「彩~aja~」(ふるいちやすし監督)は、モナコ国際映画祭で最優秀新人賞を引き寄せてしまった。
登場人物がそれぞれの立場で見せる表情の変化が面白い本作で、生真面目な安藤も徐々に奥田の行動に不満を持つようになり、とある行動に出る。隠蔽(いんぺい)について思うところを聞いてみると、予想通りの答えが返ってきた。「すぐにバレてしまいますよ。私の場合、顔に出てしまうようです」。1月25日から東京・新宿武蔵野館ほか全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
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