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剛力彩芽、男装の難役に試行錯誤 映画「黒執事」インタビュー
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「周りにいろんな人がいるからこそ私はキラキラした世界に立っていられる」と語る、女優の剛力彩芽(ごうりき・あやめ)さん=2014年1月9日、東京都渋谷区(鈴木健児撮影) 初めて出演したフジテレビ系の月9ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」で、剛力彩芽(21)は心機一転、長かった髪をベリーショートにしてみせた。元気で明るく、キュートな笑顔が印象的な剛力の、ボーイッシュなイメージはこのとき出来上がったものだ。「『髪形が似合わなかったらどうしよう』と不安もありましたが、ここからすべてが始まった感じです」
そんな剛力が枢(とぼそ)やな(29)の人気コミックを実写映画化した「黒執事」(大谷健太郎、さとうけいいち共同監督)で演じたのは、訳あって男装し、女性であることを隠して生きることになった巨大企業「ファントム」の若き経営者、幻蜂汐璃(げんぽうしおり)だ。
汐璃は、女王の密命を受けて解決困難な事件の処理を請け負う貴族の末裔。幼き日に遭遇したある事件の復讐を遂げるため、命と引き換えに悪魔の執事、セバスチャン(水嶋ヒロ)と主従契約を結んだ。そんなある日、2人は女王から各国大使館員の「連続ミイラ化怪死事件」の解決を言い渡され…。
最後まで笑み一つ浮かべない、自分とは正反対の汐璃の役作りに剛力は手を焼いた。撮影の序盤、汐璃を男らしく見せようと、意識して声を低くしたり、歩き方や座り方を荒っぽくしたり、巨大企業の経営者らしい貫禄たっぷりの所作を心がけたりしてみたが、見た目に重点を置いた試みは結果的に上滑りに終わった。両監督からは「汐璃の気持ちを大切にしてお芝居をしてほしい。男らしさを意識するあまり、せりふに感情が宿っていない」と指摘されてしまったのだ。
そこで剛力は、違うアプローチで臨むことにした。自分なりに考えた汐璃の感情をカメラの前にそのまま出し、女性でありながら男性でもある汐璃その人の強さや弱さをあるがままに表現できればいいと、大きくかじをきったのだ。「私は楽しいことや笑うことが大好きなので、そうした感情を忘れてしまった人物を考えると切なくなってしまうんです。そんな汐璃をどう表現すべきかを考えたとき、なぜ女性が男性として生きなければならないのか、ということから自分に引きつけて理解しなければ、汐璃の素直な感情は出せないのではないかと。そこで、いつも心の中でそのことを考えながら演技に臨みました」。
上っ面だけで男性をまねたのでは、黒い眼帯をした汐璃が左目の表情だけで語る場面など、とても乗り切れないとも思った。
7歳のとき、「写真のモデルになってほしい」と街でプロのカメラマンに声をかけられ、キレのあるシャッター音を聞きながらその場で撮影してもらったときの気分が爽快で、それ以来、「何が何でもモデルになりたい」との思いを強めていった。
「私は『何かをやりたい』と思ったら、できるようになるまであきらめないタイプですね。焦らずに、地道に、コツコツと、粘り強くやっていこうと、いつも心がけています」。モデルになるための努力は、例えば、身長を高くしようと、毎日たくさんの牛乳を飲んだことだった。
「家族には背が高い人がいないので、朝から欠かさず飲みましたよ。あと、『こうすれば背が伸びる』と言われていることは、ほとんど試しました」
イメチェンも奏功し、大ブレークして以来、わずか2年間で寝る間もないほどに生活環境が激変した。「まるで夢のような毎日を送っている」というのが正直な気持ちだという。
しかし同時に、剛力は「絶対にこの仕事を始めた当時の初心を忘れてはいけない」と、自らを厳しく律してもいるそうだ。「9歳か10歳で芸能事務所に入ったばかりの頃は、仕事がないのが当たり前の毎日でした。1個でも仕事があれば、本当に幸せだったんです。
そもそも、女優の仕事は一人ではできないもの。だから、周囲への感謝の気持ちがないとだめだと思います」。今、演じるという仕事が楽しくて仕方ない。次々と「ああすればよかった」「こうすればよかった」と反省点が浮かび、終わりがないが、それがたまらなく面白いのだという。1月18日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:鈴木健児/SANKEI EXPRESS)
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