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急拡張からビッグバンへ 宇宙誕生の産声「重力波」初観測

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急拡張からビッグバンへ 宇宙誕生の産声「重力波」初観測

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 138億年前に宇宙が急拡張を始めた際に生じた「重力波」の証拠を世界で初めて観測したと、米カリフォルニア工科大などのチームが3月17日、発表した。誕生時には目に見えないほど小さかった宇宙は、内部のエネルギーによって急膨張する“インフレーション”が起き、次の瞬間に火の玉となる“ビッグバン”に至ったと考えられている。佐藤勝彦自然科学研究機構長らが提唱したこの「インフレーション理論」を観測面から強く裏付けるもので、宇宙誕生のメカニズムの解明につながる成果。研究者らは「真実と確認できれば、ノーベル賞級の発見だ」と評価している。

 「ノーベル賞級の発見」

 重力波は、物体が動いた時に重力の影響で空間などが揺れて周囲に波のように広がる。アインシュタインが相対性理論で存在を予言したが、直接観測されたことはない。

 チームは、宇宙が生まれた38万年後に放たれた光の名残である「宇宙背景放射」と呼ばれる電波を、南極に設置した「BICEP2望遠鏡」で詳しく観測し分析した。その結果、宇宙初期の急膨張によって出た重力波が、背景放射の光に影響を与え、光に特定のパターンを生じさせていることを初めて発見。間接的に重力波の存在を確認したとしている。

 チームは重力波の強さも測定。重力波を発生させた急膨張のエネルギーを計算するのにつながり、宇宙が始まった瞬間に何が起きたかをこれまでにないほど正確に知ることができるという。

 インフレーション理論は1980年代初めに、佐藤氏や米国のアラン・グース博士がそれぞれ提唱した。佐藤氏は18日、都内で会見し、「30年の技術の進歩によって桁違いの性能で観測することが可能になった。インフレーションによる重力波の発見にはほぼ成功したのではないかと思う」と喜んだ。

 38万年以前探る有力候補

 宇宙は一瞬で細菌1個が銀河の大きさになるような勢いで急膨張する「インフレーション」を起こし、その終わりに内部を満たしたエネルギーが熱に変わり、火の玉となってビッグバンが始まったと考えられている。それを裏付ける鍵と期待されるのが重力波だ。

 宇宙誕生からしばらくは光が直進できないほどの高温高密度にあり、雲の中のような状態が続いた。宇宙がやがてわずかに冷え、見通せるようになったのは誕生から38万年後。このため、光や電波という従来の手段で観測できるのは38万歳の宇宙が最も若い。これより昔の宇宙を探るためには、雲の影響を受けない観測手法が必要で、重力波はその有力候補だ。インフレーションによる原始の重力波は、光にかすかな痕跡を残すため観測が可能と考えられ、発見が競われていた。

 米チームは、空気が乾燥して観測に適した南極に最新の技術を駆使した望遠鏡を設置。宇宙の限られた範囲を精密に調べ、かすかに伝わる宇宙の産声を聞くことに成功した。(SANKEI EXPRESS

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