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植物で空間をスタイリング GREEN FINGERS

 ≪整えすぎず 「経年変化を楽しむ」≫

 植物で空間をスタイリングするプラントアーティストでありながら、モダンな和菓子屋「HIGASHIYA」とコラボレーションし、米のニューヨーク近代美術館の「MoMA PS1」や、NYコレクションの展示会場で披露したインスタレーションが話題になったり。グリーン&フラワー業界の枠を超え、活動のフィールドを広げ続ける川本諭さん(40)。草木がもえる春、植物をおしゃれにインテリアに取り入れたいと、川本さんのショップ「GREEN FINGERS(グリーンフィンガーズ)」を訪れた。

 グリーンフィンガーズは東京・三軒茶屋の静かな街並みの中にある。その名の通り、ショップの入り口に並ぶのは、花よりもグリーン(葉もの)が中心。ほかに、世界観にマッチしたアンティークの家具や小物がそろう。

 店の内外を貫くのは、モダンな「侘び」「寂び」の趣だ。鉢台は、朽ちたワインの木箱や、さびた海外のドラム缶といったジャンクな実用品をリメークしたもの。あせて古びた風合いは、そのまま生かされている。「経年変化を楽しむのが、川本のスタイルです」と、グリーンフィンガーズの広報担当、深澤絵(かい)さん。それは植物も同様で、整えすぎずに、育って自然に変化する姿も楽しむのがグリーンフィンガーズ流だという。

 初心者も大丈夫

 グリーンフィンガーズは2011年に開店。観葉植物を中心に、オーソドックスなものから個性的なものまで、植物約100種類をそろえる。季節や時期で店頭に並ぶ植物は変わるが、取材の日には、肉厚なハート型がかわいいホヤ(525円)や、淡い緑色と卵色がマーブル模様になった葉が優しげなぺぺロミア(630円)など小さく値頃なもの、にょろにょろとユニークに伸びるサボテン「ヒルデウィンテラカラデモノニス」(9450円)などがあった。

 こうした植物を葉の形や色合いをミックスして寄せ植えにするのもおしゃれだが、初心者には難しい。しかし、グリーンフィンガーズには、アンティークの家具やパーツ(部品)、古い額縁、ランプシェードの骨組みやワイヤ製の鳥かごなど、川本さん自身が海外ののみの市を巡ってチョイスし、アートワークでも使っているグッズが販売されている。アイデアを借りて取り入れれば、スタイリッシュにグリーンを飾れそうだ。

 またアンティークではないが、季節ごとにグリーンフィンガーズが打ち出すシーズンカラーを塗ったテラコッタの鉢や水受け皿はおすすめ。今季はスモーキーなアースカラーやパステルカラーが7色そろっている。「シックで味わいのあるインテリアを楽しんでいただけたら」と深澤さん。

 時代に受け継がれてきたものとグリーンが溶け込む生活空間は、そこに暮らす人の心をきっと穏やかにするはずだ。

 ≪ボトルタイプはお手入れ簡単≫

 手入れに自信がない、という人におすすめなのが、小さなガラス瓶に入ったボトルタイプのブーケ(Mサイズ3465円、Lサイズ5985円)や、ドーム型のガラスケースに入ったアートドーム(Mサイズ1万9950円、Lサイズ2万5200円)。色味や触感がさまざまな3、4種類のモス(コケ)や、フェイク(模造)の多肉植物、実ものなどが絶妙にコーディネートされている。自宅用にもプレゼントにも人気があるという。

 ≪さびもアート≫

 おそらく何かの看板に使われていたであろう、さびた鉄製のアルファベット(1万9950円)は、そもそもアートと無縁な実用品。「用の美」の品々にアート性を見いだすセンスはさすがだ。(文:津川綾子/撮影:原田史郎/SANKEI EXPRESS

 ■かわもと・さとし 1974年、東京生まれ。97年に東京・三宿のアンティークショップ「THE GLOBE」でガーデン部門「GLOBE GARDEN」の立ち上げに参加、独学でグリーンを使ったスタイリングを学ぶ。2002年に「GREEN FINGERS」の名前で活動を始め、06年に独立。これまでユナイテッド・アローズや伊勢丹新宿店、H.P.DECOなどで空間展示を手掛けた。自身の店舗は、旗艦店「GREEN FINGERS」をはじめ国内5店舗あり、13年にはNYにも出店した。

GREEN FINGERS

東京都世田谷区三軒茶屋1の13の5の1階 (電)03・6450・9541。正午~午後8時、水曜休

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