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観客目線とオリジナル作にこだわり 舞台「ラブ・チェイス!!」作・演出 玉野和紀さんインタビュー
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「人のためになる仕事を」と高専で有機化学を専攻。「全然違う形になったけれど、思いはずっと同じ」と話す、舞台俳優の玉野和紀(かずのり)さん=2014年3月11日(津川綾子撮影) 「すでにある有名なミュージカルを見せるのもいいけれど、世界に1人の自分にしかできないものを。それにこだわってやってきました」
数々のオリジナルミュージカルを生み、小劇場を中心に上演してきた玉野和紀(かずのり、56)が、4月9日から新作ミュージカルコメディー「ラブ・チェイス!!」をシアタークリエ(東京)で上演する。
これまで生み出したミュージカルは約20作。どの作品も、ウイットの利いたオリジナル楽曲、タップをはじめ多様なダンス、笑いを誘うせりふの掛け合いなど、エンターテインメントの要素がぎゅっと詰め込まれている。
「お客さんが喜び、感動し、驚き、元気になるものが一番。自分がどういうものを見せたいかより、観客が今、どんなものを見たいのかを考えて作っています」と言い切る。
観客目線のサービス精神とオリジナル作へのこだわりは、ショーパブのステージに立ち、ニューヨークでダンス修業をした若き時代に培われた。「ショーパブではコント、ダンス、女装もして、最後はかっこよく決める…なんでもやりました。ニューヨークは徹底した実力社会で、大きな作品に参加するより、自分のオリジナリティーが問われました。そうしたことが今の僕の土台になっています」
脚本に加え、振り付け、演出し、時に出演もする。あらゆる立場で作品に関わるため、取材中にも携帯が鳴ると、すぐさま指示を出して対応。お忙しいですね、と話を向けても「スタッフはみんな寝ないでやってるから」と自分はさておき周囲をねぎらった。
「ラブ・チェイス!!」は人間界で恋のいたずらを楽しむ悪魔(水夏希)と、その阻止を神に命じられた天使(紫吹淳)や悪魔(玉野)が人間たちと繰り広げるラブコメディー。恋に傷つき臆病になった人々が、人間の男や女に姿を変えた天使や悪魔に心をひっかき回され、やがて本気をさらけ出すまでに再生していく姿が描かれている。
構想には「恋愛に奥手な若者が多い」とのニュースもヒントになったという。「相手に振られるのが怖いからと、思い通りになる“2次元の世界”に閉じこもる人がいる。でも、ままならないのが世の現実」と伝えたい。
若い頃、トランクひとつで上京し、たった1人で憧れの振付師を訪ねてニューヨークに渡った玉野はいう。「一生懸命さが伝われば、かなうものですよ。もしだめだったら? そしたら泣けばいいじゃない」(津川綾子、写真も/SANKEI EXPRESS)
4月9~24日 シアタークリエ(東京)。東宝テレザーブ(電)03・3201・7777。5月1日 愛知県芸術劇場大ホール(名古屋)。キョードー東海 (電)052・972・7466。5月3、4日 サンケイホールブリーゼ(大阪)。ブリーゼチケットセンター(電)06・6341・8888