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【辛酸なめ子の映画妄想記】インドのイケメン遺伝子が進化

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【辛酸なめ子の映画妄想記】インドのイケメン遺伝子が進化

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 豪華絢爛&因果応報な世界観に魅せられるインド映画。昨年(2013年)、日本では、理系の男子学生の青春映画「きっと、うまくいく」(2009年公開、ラージクマール・ヒラニ監督)がヒットし、ボリウッド特有の歌や踊りだけでなく、ドラマの完成度にも注目が高まっています。

 ちょいダサなのがいい

 5月3日公開の「スチューデント・オブ・ザ・イヤー」(カラン・ジョーハル監督)はインドのセレブ高校が舞台の学園ドラマで、アメリカの人気ドラマ「ゴシップガール」のようなアッパーな設定です。ただ、インド映画ではたまに40代、50代の男性がアクロバチックな若作りをして強引に学生役を演じたりしています。

 きっとこの映画もおじさんが高校生役を…とあまり期待しないで見はじめたら、高校の2大イケメン役が、想像をはるかに超えるかっこよさ。プロフィルによると、学園を仕切るロハン役が1987年、ミステリアスな転校生アビマニュ(アビ)役が85年生まれと、珍しく若いです(高校生役としてはサバを読んでいますが…)。2人とも顔が濃くて系統が似ていて序盤は見分けるのが難しかったですが、それにしてもいつの間にインドのイケメン遺伝子は進化していたのでしょうか。3大カーンと呼ばれる40代以上の人気俳優たちと比べると明らかに新世代です。

 ロハンは、聖テレーザ学園理事長の息子で、フェラーリのオープンカーで通学している俺様系。彼は学校一の美女でブランド大好き(エルメスのバッグで登校)の美少女シャナーヤと交際していますが、女癖が悪く他の女子とチャラついています。そこに彼の存在を脅かす、完璧なイケメン奨学生、アビマニュが転校してきて、波乱が起こります。

 ちなみにロハンはロックミュージシャンを目指していて、海辺でライブをするシーンが出てくるのですが、タンクトップにデニム短パンのインド女子や半裸の男子が踊っていて、アメリカ西海岸のような光景でした。ファッションもアメリカに影響を受けているようですが、サングラスがティアドロップ型だったり、男子はTシャツに乳首が浮いていたり、女子は分かりやすいハイブランド好きだったり、勢い余ってちょいダサなのがいい味出しています。

 ボリウッドならではですが、イケメンが転校してきて色めき立っている歌、学園の女王シャナーヤをたたえる歌、ディスコで青春を謳歌する刹那的な歌、など要所要所で挿入ミュージカルが。イケメンはいちいち前髪が風になびいています。曲は、インド風にアレンジしたユーロビートなど、ちょいダサなのが親近感を与えます。

 歌と踊りで発散

 学園ドラマは中盤から予断を許さない展開に。ロハンとアビの間に、イケメン同士、男の友情が芽生えはじめていたところ、校長が企画した学園のナンバーワンを決める大会が開幕します。1位の座と、美女シャナーヤをめぐってロハンとアビは本気で戦うのですが、種目がハードでした。まずIQテストで上位16名が選出。続いて謎解きゲームをキャンパス中を駆け回って解き、その後はダンスバトル、最後はトライアスロンと、学業に無関係な種目。この高校、大丈夫なんでしょうか…。カメラはイケメン2人を追い続け、半裸の腹筋や、腕に浮き上がる血管、引き締まった足首、腿の筋肉などセクシーなパーツにズームイン。インドのイケメンを世界に向けてプロモーションしています。

 アメリカの青春映画を意識しながらも、濃厚なボリウッドテイストが渦巻く本作。アメリカの映画の高校生は、すぐドラッグや銃に手を出しがちですが、インド映画の高校生は飲酒とたばこ止まり。あとは歌と踊りでトリップ&発散していて健康的です。(漫画家、コラムニスト 辛酸なめ子/SANKEI EXPRESS

 ■しんさん・なめこ 1974年、東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。近著は「辛酸なめ子のつぶやきデトックス」(宝島社)、「セレブの黙示録」(朝日新聞社)、「辛酸なめ子の現代社会学」(幻冬舎)、「霊的探訪」(角川書店)など。

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