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水存在?「地球のいとこ」発見 NASA、生命居住可能領域で初
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太陽系から、はくちょう座の方向に約500光年離れた地点で、太陽以外の恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)内に存在する地球サイズの惑星が初めて発見されたとの研究論文が、4月18日付の米科学誌サイエンスに掲載された。米航空宇宙局(NASA)がケプラー宇宙望遠鏡で観測し、発表したもので、太陽に相当する恒星からの距離を考えると、生命にとって重要な水が液体として存在する可能性があるという。研究チームは「地球と双子と言えるほどそっくりではないが、いとこぐらい似ている」と例え、太陽系外に存在する可能性のある生命体の発見に向けた大きな一歩であることを強調した。
この惑星は、太陽の半分の大きさで温度も低い赤色矮星(せきしょくわいせい)「ケプラー186」の周りを、1周約130日で回っている。その直径は地球の約1.1倍で、岩石でできているとみられ、「ケプラー186f」と命名された。
主星である赤色矮星には5つの惑星が発見されているが、ケプラー186fはこの中でも5300万キロメートル離れた最も外側を公転し、計算・分析の結果、表面には水が蒸発することなく液状に蓄えられている可能性があるという。他の4つの惑星は、公転周期がそれぞれ3日、7日、13日、22日と短く、赤色矮星が発散する熱エネルギーは太陽のほぼ3分の1とはいえ、赤色矮星に接近しすぎているためハビタブルゾーンから外れているという。
また、NASAによると、過去20年間で1700個近く見つかっている惑星のうち、ハビタブルゾーン内の軌道を周回している惑星は20個ほどしかなく、いずれも地球よりかなり大きい。これまで地球と最も似た惑星と言われていたのは、地球の1.4倍の大きさで、地球とほぼ同じ大きさという例は今回が初めてだ。フランス通信(AFP)によると、論文の主執筆者で、NASAエイムズ研究センターのエリザ・キンタナ氏は、ケプラー186fが「地球と似た性質を持つのに恒星から適した距離にあり、かつ適した大きさをしている」と指摘。「地球のいとこ」と呼ぶ由縁は、大きさも重要な意味を持っていることを強調する。
大きさも決め手となるのには、引力が関係している。惑星の大きさが地球の1.5倍以上になると、引力によって宇宙空間から水素とヘリウムの厚い層を引き付け、木星や土星のような巨大なガスの惑星になると考えられ、表面に水が液体として存在することはあり得ないからだ。
距離、大きさともに“どんぴしゃ”のケプラー186fだが、地球から遠いため、大気の有無や生命がいるかどうかを確かめることは難しい。
論文の共同執筆者の米サンフランシスコ州立大学の天文学者、スティーブン・ケイン氏は「分かっていることは、この惑星がハビタブルゾーン内にあるということと地球サイズであることだけ。今後できることは、この惑星に関する様々な可能性を1つずつ検証していくことだ」と話している。
今後は、重量や大気の有無、地表温度などをさらに調査していく必要があるが、一方でNASAは、より近い地球型惑星の探査にも力を入れている。「地球の双子」のような惑星が発見され、生命体の存在が確認される日は近いかもしれない。(SANKEI EXPRESS)