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【TVスクエア】NHK「花子とアン」BGM 梶浦由記 ケルト楽器で「はなの強さを奏でて」

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【TVスクエア】NHK「花子とアン」BGM 梶浦由記 ケルト楽器で「はなの強さを奏でて」

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マルチ音楽コンポーザー、梶浦由記さんの手がける音楽で、ドラマはより深く、豊かになる=2013年11月22日(スペースクラフト提供)  NHKで放送中の連続テレビ小説「花子とアン」(前8・00)は、小説「赤毛のアン」を初めて日本語に訳した村岡花子の生涯を描いた物語。山梨の貧しい農村に生まれたはな(花子)が、女学校に進み困難に負けないで頑張る姿が感動を呼んでいる。そんなドラマを彩っているのが美しいBGM。「空の境界」「魔法少女まどか☆マギカ」など人気アニメの音楽を数多く手がけてきた音楽家の梶浦由記(48)が書き上げた。

 心情表し情景を感じさせ

 日本が舞台のドラマでありながら、どこか異国情緒を感じさせる音楽が鳴り響く。ベースにあるのがケルト音楽。「はなの夢見がちな心を表現したくて、アンが暮らしたプリンスエドワード島と結びつく音楽になりました」。はなの登場シーンに鳴る震えるような音色にも、ケルト楽器のイーリアンパイプが使われている。「これで前に進もうとしているはなの強さを奏でていただきました」

 女学校で花子と“腹心の友”となる葉山連子のテーマも工夫した。蓮子のモデルとなった歌人の柳原白蓮は、華族の出ながら奔放な振る舞いで名をはせた。「癖がある特殊な方。その存在感を出したかったので、弦を叩いて音を出すハンマーダルシマーを使っています」。心情を表し情景を感じさせるBGMが、ドラマに奥行きを与える。

 ラストに向けて「ワクワク」

 学生時代からバンドを始め、就職後も活動を続けて音楽ユニット「See-Saw」としてデビュー。当時は「オペラや歌曲が好きだったので、作るのも歌ものばかりでした」。そうした中、レコード会社の企画で作ったインストルメンタル曲を聞いた市川準監督から、映画「東京兄妹」の音楽を依頼されたことをきっかけに、BGMの分野に足を踏み入れた。「人生が変わりました」。今やこの分野のトップランナー。注目の集まる朝ドラも経験して、一層の飛躍が見込まれる。

 歌ものの活動も続けている。自身が中心の音楽プロジェクト「Fiction Junction」で歌手やバンドとCD制作やライブを繰り広げ、2月から4月までツアーも行った。女性ボーカル3人の音楽ユニット「Kalafina」のプロデュースや、新作アニメの音楽も手掛けて忙しい日々が続く。

 「花子とアン」の音楽もまだまだ作る。「ラストに向けての音楽です。台本をできたところから読んでいるんですが、これからどうなるのかとワクワクしています」。文字だけでも胸躍らせる力を持った物語に、心を動かす音楽が乗った時、「花子とアン」の世界がどれだけの豊穣さを見せるのか。秋まで続く放送から目も耳も離せない。(谷口隆一/SANKEI EXPRESS

 ■かじうら・ゆき 東京都出身、作詞・作曲・編曲を手掛けるマルチ音楽コンポーザー。1993年に音楽ユニット「See-Saw」でメジャーデビュー、2002年「機動戦士ガンダムSEED」のエンディング曲「あんなに一緒だったのに」がオリコン初登場5位。03年ソロアルバム「FICTION」リリース、04年個人プロジェクト「Fiction Junction」スタート、08年から「Yuki Kajiura LIVE」を開始し国内外でライブを展開。今年1月にアルバム「elemental」リリース、6月18日「『花子とアン』オリジナル・サウンドトラック」リリース。

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