ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
社会
【遠隔操作ウイルス事件】「真犯人メール」は自作自演か 片山被告の保釈取り消し申請
更新
記者会見する佐藤博史弁護士。同席する予定だった片山祐輔被告は姿を見せなかった=2014年5月19日、東京都千代田区霞が関の司法記者クラブ(鴨川一也撮影) 4人が誤認逮捕された遠隔操作ウイルス事件で、IT関連会社元社員の片山祐輔被告(32)=威力業務妨害罪などで起訴、保釈中=が埋めたとみられるスマートフォン(高機能携帯電話)が、電源が入った状態で東京都内の河川敷で見つかり、付着物から片山被告のDNA型が検出されたことが5月19日、捜査関係者への取材で分かった。報道機関などに(5月)16日に届いた「真犯人」を名乗るメールと同じ文面を送信した痕跡があり、東京地検はメールが片山被告の自作自演だったとみて東京地裁に保釈取り消しを請求した。
メールのタイトルには天皇、皇后両陛下やキャロライン・ケネディ駐日米大使らの殺害予告が書かれており、警視庁は19日夜、脅迫容疑で、容疑者を特定せずに東京都江東区の片山祐輔被告の自宅を捜索。立件へ詰めの捜査を進める。
一方、片山被告の弁護団は19日、「真犯人からのメールで、片山被告が犯人ではないことが明白になった」として公訴取り消しを請求。片山被告はこの日午後2時からの記者会見に同席する予定だったが、午前10時20分ごろから弁護団と連絡が取れなくなり、行方が分からなくなっている。
捜査関係者によると、スマホが見つかったのは、江戸川区内の河川敷。片山被告が(5月)15日夕、現場周辺で不審な行動を取っているのを警視庁の捜査員が確認しており、(5月)16日午前11時半すぎにメールが届いた後に土を掘り返したところ、電源が入った状態のスマホが出てきたという。
片山被告はメールが届いた時間帯に東京地裁での公判に出廷しており、公判後の記者会見で「メールを送ることはできない」と否定していた。捜査当局は、片山被告が決められた時間に自動でメールを送信する「タイマー機能」を使い、偽装工作を図ったとみて裏付けを進めている。
メールは、片山被告のパソコンをウイルスに感染させ、片山被告が逮捕されるように仕向けたと説明。タイトルに新たな殺害予告を書き込んでいたほか、真犯人として名乗り出た理由を「(片山被告が)かわいそうになったから」などとしていた。
またメールのタイトルには、地下鉄の駅でサリンを散布することや片山被告の公判を担当している裁判長らを射殺することなどに言及。ケネディ大使については英語で「父親のように殺す」としている。
本文の最後には「警察・検察は片山被告に1億円ぐらい補償してあげてくださいね」と記載されていた。
宛先は報道機関の記者や弁護士らで、殺害予告の対象者に直接送信されていないが、捜査当局は脅迫容疑にあたると判断した。
≪会見欠席、連絡取れず 弁護人「無実の考え揺るがない」≫
片山被告は5月19日に出席を予定していた東京・霞が関の司法記者クラブでの会見に姿を現さなかった。会見には主任弁護人の佐藤博史弁護士が一人で出席し、「片山さんが無実だという考えは全く揺るがない」と強調。「真犯人」を名乗るメールを送ったかどうかについて、片山被告本人の口から経緯が説明されることはなかった。
佐藤弁護士によると、片山被告と午前10時前に記者会見について電話で打ち合わせをした後、捜査当局の動きについて報道があり、午前10時過ぎにも2回、電話でやり取りをした。被告は驚いた様子で、病院で胃の検査を受ける予定をキャンセルして弁護士事務所に向かうと言っていたが、その後、何度電話しても通じなくなったという。
記者会見で佐藤弁護士は、「(不審な行動をしていたとされる)(5月)15日の行動について正々堂々、説明すればよいだけのことだ」と語気を強め、片山被告がメールを送ったとする捜査当局の見方を否定。一方で、片山被告の次回公判が22日に予定されていることに触れ、「公判に出頭しなければ保釈取り消しの理由になる」と、顔を曇らせる場面もあった。
問題となっているメールは(5月)16日の片山被告の第8回公判中に報道機関などに送信されていた。(5月)16日の公判後に行った会見で、片山被告は「公判中に犯人からメールが来た。自作自演といわれると思うが、(事件当時の)パソコンは押収されたままだ」と関与を否定。「このメールもどうせなら勾留中に出してほしかった。(保釈された後の)公判中では、第三者に頼んだといわれるのが避けられない。警察は犯人を見つけてください」と述べていた。(SANKEI EXPRESS)