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犬を通して実は人間像が描かれている ピーター・ホー、チャン・チュンニン 映画「一分間だけ」
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病魔に冒された愛犬との最後の日々を描いた作家、原田マハ(51)のベストセラー小説「一分間だけ」が、台湾の人気俳優、ピーター・ホー(38)とチャン・チュンニン(31)のダブル主演により同名タイトルで映画化された。気鋭の女性監督、チェン・フイリンがメガホンをとり、台湾を代表するオスカー監督、アン・リー(59)の弟、ガン・リー(56)が製作総指揮を務めた。プロモーションで来日したホーは「僕は猛々しく荒っぽい男の役に起用されることが多かったので、これほどソフトな人物を演じるなんて新鮮な体験でした」、チャンは「まず小説を読みました。主人公と同様、私も犬を飼っているので犬との強い絆についてとても共感できました」と、それぞれ映画化への思いを口にした。
時代をリードする人気ファッション誌の編集者、ワンチェン(チャン)は、同棲中の恋人、ハオジエ(ホー)とゴールデンレトリバーを飼うことに決め、リラと名付けた。ほどなく編集長に抜擢されたワンチェンは仕事に夢中になってしまい、ハオジエとの関係がギクシャクし始める。2人は別れ、ワンチェンとリラとの生活がスタート。ワンチェンは仕事を抱えての飼育に限界を感じていたころ、リラが末期がんに冒され、獣医から余命を宣告されてしまう。
「犬の姿を通して、実は現代の人間像が描かれているところが面白い。人との付き合い方や考え方がまるで違うと、どんなことが起こるか?といった具合にね。とても示唆に富んだ作品ですよ」。初めて脚本を読んだ際、ホーが抱いた率直な感想だ。
一方、チャンの関心は愛情の注ぎ方に向けられた。「女性の場合、往々にして恋人に『私を愛してる?』と聞きますよね。女性は男性の愛を求めているんだけれども、小説や脚本を読むと、愛する者のために尽くすということが必要だと気づかされます。愛するという行為に自己犠牲はつきもの。ワンチェンはそのことが分からなかったんですね」。法律を学ぶために2010年から大学院に進学し修士号を取ったチャンは、多忙を極める女優業と、家族と過ごすプライベートの時間との両立に心を砕いてきただけに、人ごととは思えなかったのだろう。
すぐさまホーは言葉を継いだ。「タイトル通り、1分だけでもいいから、身の回りの人に関心を持つことが大事です。例えば両親とご飯を食べる時間は大事にしたいですね。それが両親にとっても1日の中でかけがえのない時間になっているかもしれませんしね」。5月31日から新宿バルト9ほかで公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
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