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ブラジルW杯開幕 ネイマール2発 主役は俺 ブラジル、開幕戦逆転勝ち
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サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が6月12日(日本時間13日)、開幕し、初日はサンパウロで1次リーグA組の1試合が行われ、最多5度の優勝を誇る開催国ブラジルがクロアチアに3-1で逆転勝ちした。ブラジルはこの試合、オウンゴールでクロアチアに先制を許したが、重圧がかかる中、窮地を救ったのは絶対的エースのFWネイマール(22)だった。前半にミドルシュート、後半に勝ち越しのPKを決め、まさに「ネイマールの大会」になるのだと世界中のサッカーファンを確信させた。
世界で唯一、第1回大会(1930年)から今回の第20回までW杯全大会に出場し、最多優勝回数を誇る王国、ブラジルでも、開幕戦で先制点を奪われれば、相当のプレッシャーがかかる。熱狂的な国民の応援の前で萎縮した飛べないカナリア(ブラジル代表)を救わなくてはならない-。ネイマールの使命感が、全身を貫いた。
前半11分、DFマルセロがまさかのオウンゴールで0-1。浮足立つ展開で迎えた前半29分だ。MFオスカルからパスを受けたネイマールがドリブルで前進しながら左足シュート。ボールの上をたたいたが、相手DFの股を抜き、右ポストに当たってゴールネットを揺らした。
「(W杯初ゴールは)夢で見たよりもさらに大きな出来事だった。あれは勝利を収めるのに不可欠だった」。試合後のネイマールの弁だ。
後半29分、FWフレジへのファウルで得たPKも、コースを読んだ相手GKプレティコサの手に当たりながら、左サイドネットに飛び込む“神がかり2連発”。試合終了間際にはオスカルが追加点を奪い、ブラジルはダメを押した。
これでブラジルの開幕戦通算は4戦して3勝1分けだが、逆転勝ちは初めて。開幕戦2得点は、ブラジル代表では自国開催だった50年大会のアデミール(1922~96年)以来、2人目の快挙だった。
頂点に立つことが至上命令である自身初のW杯で王国の10番を背負うネイマールには、自然と注目が集まる。スコラリ監督(65)は「周囲の選手はネイマールに楽しくプレーしてほしいから、そのためにはどんな犠牲も払うと話していた」と明かす。前半の同点弾も、直前にオスカルが2人に囲まれながらボールを奪い返して出したパスが起点。ゴールの直後、スコラリ監督と控え選手のいるベンチに駆け寄ったネイマールのまわりにできた大きな歓喜の輪が、王国一丸の象徴だった。
ネイマール本人は「何よりも勝てたのがうれしい。チーム全員が称賛の言葉を受けるに値する。全体でプレーするのがチームなんだ」といたって謙虚。垂れ込めた暗雲を振り払った“ブラジルの至宝”が、悲願である自国開催での頂点を目指して王国を引っ張る。そして、ペレ(ブラジル)、クライフ(オランダ)、マラドーナ(アルゼンチン)…W杯スーパースターの系譜に22歳のエースも連なろうとしている。
大会は32チームがA~Hの8組に分かれて1次リーグを行い、各組上位2チームが決勝トーナメントに進む。7月13日の決勝まで、約1カ月にわたって開催される。
5大会連続5度目の出場となるC組の日本は14日(日本時間15日)にコートジボワールとの初戦を迎える。(SANKEI EXPRESS)