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沖縄発 異色のインストゥルメンタル Black Wax、Harukaze東風
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宮古島で結成されたジャズ・ファンク・バンド、ブラック・ワックス(提供写真) 沖縄の音楽といえば、独特の言葉を使った唄の数々。民謡もロックもポップスも盛んなだけに、本土とは違う唄の文化が根付いてきたのはご存じの通りだ。しかし、実際のところ、言葉のない音楽だって沖縄にはたくさん存在する。ジャズだって盛んだし、三線は沖縄ならではの音色を感じさせる楽器。今回は、そんな沖縄から発信するインストゥルメンタルのグループを2組紹介しよう。
まずは、ちまたで話題沸騰中のジャズ・バンド、Black Wax。宮古島を拠点に活動する4人組で、基本的にはドラムス、ベース、キーボード、サックスという編成で演奏する。こう書くとワンホーンでオーソドックスなジャズを演奏しそうだが、最新作「ヴドゥー・イー」を聴けば誰もがびっくりするだろう。ファンクやラテンなどを取り入れた骨太なリズムセクション、変幻自在の鍵盤さばき、力強くブローするサックスと、どこを切り取っても規格外の面白さに満ちている。そして極め付きなのが、イスラエルのミックスモンスターというエンジニアに依頼し、ダブと呼ばれる過激な音響処理を施したこと。
まるで異次元に放り投げられたような感覚の音空間を作り上げている。セッションを重ねて生まれたオリジナル曲からスタンダードナンバーまで取り上げる懐の深さも見事。沖縄だけでなく日本のジャズシーンを担っていくグループといっていいだろう。
一方のHarukaze東風(はるかぜ)は、昨年(2013年)結成されたばかりの究極の癒やしサウンドを演奏する男女ユニット。作曲を担当する東正洋のアコースティックギターに乗せて、比嘉久美子が三線で優しい調べを奏でていく様子はとても自然体。初のアルバム「はるかぜのおと。」も、まるで風のささやきや小川のせせらぎをそのまま音にしたような作品だ。とはいえ、単純にしっとりとした音楽をやっているわけではない。南九州に伝わる幻の弦楽器「ごったん」を取り入れたり、ゲストにハープやマリンバを加えるなど随所にスパイスが効いている。そして何より、アルバム全体が一つの物語のように展開していくのが心地よい。目を閉じて聴いていると、のどかな島で一日を過ごしているかのような感覚にさせてくれる。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)