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米中経済摩擦 市場開放めぐり攻防 戦略・経済対話開幕 習氏、領土問題で一切妥協せず
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「米中戦略・経済対話」の開幕式で、演説に臨む中国の習近平国家主席。左は米国のジョン・ケリー国務長官=2014年7月9日、中国・首都北京市の釣魚台迎賓館(共同) 米中両政府が政治や経済の課題を話し合う閣僚級の「米中戦略・経済対話」が7月9日、北京で始まった。中国の習近平国家主席(61)は開幕式で「互いに主権と領土を尊重しなければならない」と述べ、東・南シナ海などでの領有権争いを念頭に領土問題で一切妥協しない方針を強調、米国の介入を牽制(けんせい)した。
ジェイコブ・ルー米財務長官(58)は経済対話で「為替レートを、より市場原理に基づいて決まるようにすることが重要だ」と述べ、中国が人民元相場の規制を緩め、変動幅を拡大するよう求めた。
双方は、米国が懸念を示す中国主導の「アジアインフラ投資銀行」設立計画や、中国がサイバー攻撃で産業スパイをしているとされる問題などでも主張をぶつけ合ったもようだ。
安全保障問題を話し合う戦略対話では、習氏が7月初旬に韓国を訪問したことを踏まえ、北朝鮮の非核化に向けた連携について意見を交わしたとみられる。
習氏は開幕式で「双方に違いや摩擦はあるが、だからこそ協力が必要だ」と強調。オバマ米政権が米中の協力拡大を目指す声明を出したことを踏まえ、衝突回避の姿勢も示した。
習氏は「太平洋には中国と米国という2つの大国を受け入れるのに十分な空間がある」とも訴え、互いの企業進出などを促進する投資協定の締結交渉を「加速しなければならない」と述べた。ルー氏は経済対話で「開かれた国際貿易体制」の重要性を指摘し、知的財産の保護の必要性も強調した。汪洋副首相(59)は「中国は世界最大の発展途上国」と主張し米国を牽制した。
・東・南シナ海の領有権問題
・サイバーセキュリティー問題
・少数民族や人権の問題
・北朝鮮核開発問題
・気候変動をめぐる問題
・投資協定や人民元問題
・アジアインフラ投資銀行
≪米中経済摩擦 市場開放めぐり攻防≫
北京で7月9日始まった閣僚級の「米中戦略・経済対話」は、中国の規制緩和をめぐる議論が展開され、両国の経済摩擦の勢いが増していることがうかがわれた。
中国市場をこじ開けようとする世界最大の経済大国である米国と、自国の経済を守りながら発展を遂げたい第2の経済大国の中国。両国の立場の隔たりが改めて鮮明になった。
習近平国家主席は開幕式で「中国と米国は経済規模で世界の3分の1を占めている」と指摘し、経済協力の重要性を強調した。
ただ、中国は海外からの投資や外資系企業の事業展開に関する規制が数多い。米国のルー財務長官は対話の冒頭で「中国市場の開放が(中国の)経済成長にとって重要だ」と述べ、規制緩和の推進を促した。
中国も改革を進めてはいる。3月に人民元相場の1日当たり変動幅を拡大。上海で自由貿易試験区を開設した。ただ一気に規制緩和をすれば、まだ足腰の弱い国内産業は大きな打撃を受ける。
一方、実力をつけるとともに、米国で事業拡大を狙う中国企業も増えている。米国ではスパイ行為の危険性を理由に、中国の通信機器会社を排除する動きも出た。中国には「中国企業いじめだ」(製造業)と反発する声もあり、両国間の軋轢(あつれき)は今後も残りそうだ。
9日開幕した戦略対話では、北朝鮮への対応についても突っ込んだ議論を交わしたもようだ。
北朝鮮の非核化は米中が協調を演出できる数少ない外交目標の一つ。米側は中国の歩み寄りともみられる態度変化に手応えを感じているが、日朝交渉の進展により構図はむしろ複雑になっている。
オバマ米政権は習近平国家主席が今月(7月)3日、中国の最高指導者として初めて北朝鮮より先に韓国を訪問したことについて「中国は重大な一歩を踏み出した」(米政府高官)と評価。金正恩(ジョンウン)体制に対する不満を示したものとみて、韓国を交えた米中連携強化の好機と捉えている。
一方の北朝鮮は戦略対話に合わせるように9日、弾道ミサイルを発射。米情報当局筋は「中国の意向は気にもかけないという金正恩のメッセージ」と中朝関係の冷え込みを読み取る。
ただ、中国が6カ国協議再開に向けて米国の柔軟な対応を促してきたのに対し、米側は北朝鮮の行動次第だとの立場を崩していない。北朝鮮が寧辺の核施設の稼働停止や核・ミサイル実験凍結を約束するのが最低条件だとしており、今回も北朝鮮に対する影響力行使を求めているとみられる。
さらに、変数となっているのが拉致問題をめぐる日朝交渉の進展だ。
オバマ政権は日本の独自制裁解除について「多国間の制裁を犠牲にするものであってはならない」(ベン・ローズ大統領副補佐官)と警戒。中国は、表向きは対話進展を歓迎する意向を示している。
米政府当局者は「日本に主導権を奪われたくないとの心理が働き、中国が韓国とともに協議再開に前のめりになる恐れがある」と指摘。米中が「戦術面での違い」(ダニエル・ラッセル国務次官補)を埋めるのは一筋縄にはいきそうにない。(共同/SANKEI EXPRESS)