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アルゼンチン 13年ぶり債務不履行 米ファンドとの協議決裂

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アルゼンチン 13年ぶり債務不履行 米ファンドとの協議決裂

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7月30日、米ニューヨークで、債務協議に関して記者会見するアルゼンチンのアクセル・キシロフ経済財務相=2014年(ロイター)  アルゼンチンの債務返済をめぐる交渉が7月30日、決裂した。2001年の債務不履行(デフォルト)時の全額返還を求める米ヘッジファンドとの協議が不調に終わり、アルゼンチンは13年ぶりに事実上のデフォルト状態に陥っている。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、アルゼンチン国債を債務不履行の一種である「選択的デフォルト」に格下げした。

 一方、アルゼンチンのアクセル・キシロフ経済財務相(42)は記者会見で、すでに利払いのための資金をニューヨークの銀行に預けていることを理由に「デフォルトではない」と強調した。

 2001年のデフォルト後、海外債権者の約9割は全額返済をあきらめて債務再編に応じたが、一部の米ヘッジファンドは全額返済を求めて提訴。米裁判所は6月、ヘッジファンドに全額返済しない限り、国債利払いを認めないとの判断を下していた。(ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS

 ≪新興国見直し機運に水、「負の連鎖」懸念も≫

 アルゼンチンは1816年の独立以降、対外債務で7回、国内債務で5回ほど返済を見合わせた、デフォルト(債務不履行)の「常習犯」だ。経済規模が小さいため、今回の債務不履行も世界的な金融危機の引き金を引くと見る市場関係者は少ない。だが、南米やアジア諸国の金融市場にリスクマネーが再還流していた、春先以来の「新興国見直し機運」に水を差し、世界経済全体に負の連鎖を起こす懸念もくすぶる。

 マンハッタンの中央部に位置するソシエテ・ジェネラル・ビル。7月30日は朝からカメラマンや記者がビル前に詰め掛けていた。債務返済をめぐって同ビル内で協議を続けていた、キシロフ経済財務相と米裁判所が指名した仲裁人、ポラック氏を追いかけていたのだ。

 (7月)30日はドル建て国債の利払い期日。マンハッタンのアルゼンチン総領事館で記者会見したキシロフ氏は債権者である米投資ファンドとの交渉が決裂したことを明らかにした。

 影響は限定的

 アルゼンチンは2001年の債務不履行後、海外での起債が制限されるなど、国際金融市場から隔離されてきた。新興国が発行する債券・債権を組み込んだ新興国債務指数におけるアルゼンチンの割合は約1%と01年の約20%から大幅に低下している。

 このため、今回の財務不履行の影響は限定的との見方が大勢だが、見過ごせない兆候もある。

 昨年(2013年)来、米ウォール街では米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切った「1994年危機」の再来が懸念され、年初にかけて、経常・財政収支が赤字の新興国通貨や同債券が売り込まれた。それでも春先に新興国市場は持ち直した。再び資金が新興国に戻ったのは、選挙といった政治イベントを通じて新興国の経済改革が材料視されたからだ。アルゼンチンも債務返済をめぐる交渉が政治決着するとみていた投資家が多かった。このため、アルゼンチンの債務不履行が新興国に対する「期待」を後退させる恐れもある。

 「バタフライ効果」リスク

 足元は世界中の株式・債券相場が高値圏にあるだけに、微細な負のニュースに過剰反応しやすい地合い。「欧州銀がアルゼンチン銀から資金引き揚げ→利益確定のために欧米株売り」といった連想から株価が調整するなど、「(小さな出来事が大きな現象に発展する)バタフライ効果」が発生するリスクもある。(ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇/SANKEI EXPRESS

 ■アルゼンチン債務問題 アルゼンチンは2001年に対外債務の支払い停止を表明し、デフォルト(債務不履行)に陥った。海外債権者の約9割は全額返済をあきらめて債務再編に応じ、新たな国債を受け取った。アルゼンチンは新たな国債の利払いを続けていたが、一部の米投資ファンドは全額返済を求めてアルゼンチンを提訴。米裁判所は6月、投資ファンドに全額返済しない限り国債利払いを認めないと判断。利払いが滞り、デフォルトの懸念が高まった。(共同)

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