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【辛酸なめ子の映画妄想記】密集メカ、迫力バトルの大満足

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【辛酸なめ子の映画妄想記】密集メカ、迫力バトルの大満足

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映画「トランスフォーマー_ロストエイジ」(マイケル・ベイ監督)。8月8日公開(サンダンスカンパニー提供)。(C)2014_Paramount_Pictures.All_Rights_Reserved.  □映画「トランスフォーマー ロストエイジ」

 世界中のメカ好き、車好き、戦隊マニア男子の心を掴(つか)んだ「トランスフォーマー ロストエイジ」(マイケル・ベイ監督)が、ついに日本でも公開です。不肖筆者は今までシリーズ前3作を見ていなかったのですが、最初の数十分でなんとなく敵対関係がわかり、2時間40分の3D長編、十分に楽しめました。

 舞台はテキサス。廃品回収業兼発明家のケイド(マーク・ウォールバーグ)と、一人娘の女子高生テッサ(ニコラ・ペルツ)は貧しいながらも幸せに暮らしています。このテッサが、デニムのホットパンツがまぶしい金髪ギャル。アメリカのモーター雑誌で車やバイクと一緒に写ってそうなHOTな美女です。父はそんな娘が心配で、デートに行くと言うテッサに「高校生男子はガキでバカ。うちはデート禁止だ」と厳しくしつけようとしますが、結局は娘に甘く、折れてしまうのでした。その父親自身も高校生の時に亡き妻との間にテッサを授かったわけなのですが…。など、父と娘のドラマも見せつつ、そこに宇宙の金属生命体やCIAが絡んできて、波乱と金属とがれきの渦に巻き込まれていきます。

 CIA、逃避行、恋模様

 ある時、ケイドが廃虚化した映画館から持ち帰った古いトラックが、刺激によって生き返りロボットに変身。現れたのはオートボット、オプティマスプライムでした。前作で、悪の組織ディセプティコンを倒すため、人間とともに戦った味方のはずのオートボットですが、アメリカ政府に厄介者扱いされ今は攻撃の対象となってしまっています(アメリカらしい思考回路です)。オプティマスの存在はすぐに見つかり、CIAが襲撃。爆破と銃弾の海をくぐり抜けて金属生命体とともに逃げる父娘。さらに車で迎えにきた娘の彼氏、シェーン(ジャック・レイナー)まで加わってスリリングな逃避行が始まります。父と娘の彼氏の緊張関係(イチャつこうとする2人に注意したり…)という新たなドラマも加わり、目を離せない展開に。

 CG全開ごちゃごちゃ感

 オプティマスは、オートボットの仲間たちが潜む山間地帯へたどり着き、戦隊を結成。荒くれ者の弟キャラ、バンブルビー、鎧兜(よろいかぶと)の武士姿のドリフト、あごひげがワイルドなハウンド、早撃ちが得意のクロスヘアーズ…ロボットなのにジョークを言ったり人間味あふれているのが魅力です。

 そもそもなぜ彼らは英語で会話しているのか、また宇宙の高度な技術があるはずなのに体の部品がごちゃごちゃしているのはなぜか、など突っ込みどころもありますが…。メカ好きにとっては、ケーブルとかネジとか凝縮した密度感が重要なのでしょう。巨大な母船が出現するシーンもありましたが、つぎはぎだらけでスクラップ感が…。CG製作者の労苦が忍ばれます。

 3Dで迫るがれき、破壊音

 ハリウッド大作としてのツボも抑えています。「CIAまたはFBIが暗躍」「ラボで新生命体を研究」「新生物の反乱」「銃撃戦」「橋を封鎖」「ビルを突き破る」「カーチェイス」といった、この手の大作に欠かせない演出は網羅。『猿の惑星 創世記』の猿がロボになってスケールが倍増した感じでしょうか…。

 後半はずっと、戦乱で破壊されたがれきを3Dで浴びせられていました。バキッ!とかドゴッ!とかガシャーン!とか、常に破壊音が鳴り響き、ストレス解消にもなりそうです。ただ、気になったのは大きな正義の前では小さな被害はどうでもいいのか、ということ。罪のない庶民の家が壊され、路上の屋台が倒され、街がメチャクチャに…。それもカタストロフィーの刺激を求めるファンにとっては快感なのかもしれません。

 そして観光誘致のため積極的に壊されたいという国の思惑も。中国の観光ツアー機関が、映画の中で壊される観光地の名前をしっかり表示しなかったことに対し訴訟を起こそうとした件もありました。もはや破壊されるのが名誉の名作シリーズ。日本は全く出てこなくて一抹の寂しさがありますが…平和なのは良いことです。8月8日、東京・TOHOシネマズ日本橋ほかで全国公開。(漫画家、コラムニスト 辛酸(しんさん)なめ子/SANKEI EXPRESS

 ■映画「トランスフォーマー ロストエイジ」 マイケル・ベイ監督、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮による人気SFアクション「トランスフォーマー」のシリーズ第4作。人類の存亡をかけた米シカゴでの戦いから4年後、オプティマスプライム(声・ピーター・カレン)らオートボットたちは、トランスフォーマーを厳しく取り締まる政府の手から逃れていた。そんなある日、一人娘のテッサ(ニコラ・ペルツ)と暮らす発明家のケイド(マーク・ウォールバーグ)は、古いトラックを安価で手に入れる。キャストは前3作から一新。渡辺謙がサムライ型のオートボット、ドリフトの声を担当。

 ■しんさん・なめこ 1974年、東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。近著は「辛酸なめ子のつぶやきデトックス」(宝島社)、「セレブの黙示録」(朝日新聞社)、「辛酸なめ子の現代社会学」(幻冬舎)、「霊的探訪」(角川書店)など。

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