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ライブハウス「ゴールデンカップ」50周年 音に誘われて よみがえる青春
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ダンスホール「クリフサイド」で行われた「ヨコハマグラフィティ」開催記念イベントでザ・ゴールデン・カップスの曲を披露するエディ藩(ばん)さん(右)とマモル・マヌーさん=2014年8月3日、神奈川県横浜市中区元町(田中幸美撮影) 1960年代の横浜・本牧地区に、時代の最先端の音楽を生演奏で楽しめ、ベトナムから帰還した米兵や流行に敏感な日本人であふれるライブハウスがあった。「ゴールデンカップ」。後に店名を冠したバンド名でデビューし、大ヒット曲「長い髪の少女」で知られる「ザ・ゴールデン・カップス」(以下カップス)を輩出した伝説のライブハウスだ。
ゴールデンカップが今年開店から50周年を迎えるのを機に、8月13日から横浜市西区の横浜高島屋で「ヨコハマ グラフィティ ザ・ゴールデン・カップスの時代展」が行われる。リトルアメリカと化していた当時の本牧地区の情景や若者文化、カップスの貴重な写真などを紹介している。
それに先駆けて(8月)3日には、横浜市中区元町のダンスホール「クリフサイド」で「ヨコハマ グラフィティ」の開催記念イベントが行われ、カップスのメンバーらが集まってライブを繰り広げた。
「楽しんでますか-」。ライブも後半にさしかかったころに登場したのはカップスのギター、エディ藩(ばん)さん(67)。特別編成のバンドで次々と曲を披露すると、客席の人たちはステージ前のフロアに飛び出して往時のようにダンスを楽しんだ。
最後はエディ藩さんの紹介で、カップスのメンバーが個別に登場。ドラムのマモル・マヌーさん(65)はドラムではなくボーカルで加わり「ルシール」を披露。また、ベースのルイズルイス加部さん(65)とキーボードのミッキー吉野さん(62)も別々の曲にゲスト参加。ミッキーさんはプロコルハルムの「青い影」を披露して会場を沸かせた。
会場には、当時の本牧で青春時代を過ごしたキャシー中島さん(62)と夫で俳優の勝野洋さん(65)、ジュンコの愛称で知られた俳優、浅野忠信さんの母、浅野順子さん(63)らの姿も見られ、それぞれに往時を懐かしんでいた。
≪リトルアメリカが生んだ「本格バンド」≫
「ヨコハマ グラフィティ ザ・ゴールデン・カップスの時代展」は、8月13日(水)~25日(月)、横浜市西区南幸1の6の31、横浜高島屋8階ギャラリーで。午前10時~午後7時30分(午後8時閉場、最終日は午後6時閉場)。一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。問い合わせは(電)045・311・5111、横浜高島屋まで。
横浜市中区の本牧地区にかつて米軍住宅があったのをご存じだろうか。敗戦の1945年、米軍によって接収された本牧地区の約70ヘクタールという広大な敷地に約900戸の白いアメリカンハウスが立ち並ぶ「米軍横浜海浜住宅地区」(通称本牧ベース)が出現した。本牧の大通りの両側に広がる米軍住宅は、数キロにわたってフェンスで囲われ、中には映画館やテニスコート、ボウリング場などがあった。
米兵がもたらすファッションや音楽は新しい文化を生み、82年の返還までの約30年にわたり、本牧地区は「リトルアメリカ」の様相を呈していた。
そんな本牧に64年末オープンしたのが、ゴールデンカップだ。この伝説の店を開き、現在も同じ場所で店を続けるのは上西(うえにし)四郎さん(82)。出身地の京都で洋服の製造卸業を営んでいたが立ちゆかなくなり、知り合いに誘われたどり着いた本牧で開店した。
毎月アメリカから最新のレコード10~15枚を取り寄せてジュークボックスでかけたところ、本国アメリカの最新サウンドが聴けると米兵の間でたちまち評判に。その後、本格的に生バンドを取り入れようと考え、紹介されたのがカップスのリーダー、デイブ平尾さん(2008年死去)だった。「R&Bっぽい歌声が一発で気に入った」
間もなくプロ志向を打ち出した平尾さんはメンバーを再編。これが67年に店名を冠したバンドでプロデビューを果たし、一世を風靡(ふうび)した「ザ・ゴールデン・カップス」だった。
当時はグループサウンズ(GS)の全盛期。カップスは、派手な衣装を着て愛嬌(あいきょう)を振り巻くアイドルのような他のGSバンドとは決定的に違った。ステージでは普段着のまま。演奏テクニックが素晴らしく音だけで勝負する本物志向のバンドだった。
毎晩150~200人の米兵が集まり、音楽ファンだけでなく同業のミュージシャンからも注目された。石原裕次郎や勝新太郎らも訪れた。最盛期には7人のコックと7人のウエーターを抱えるほどだった。
しかし75年、ベトナム戦争が終結すると、米兵の客が激減。それを機に上西さんは店を日本人向けに作り替え、ボックス席などを設けてクラブ風に改装した。矢沢永吉さんが訪れてはライブをしたのもその頃だ。カップスはデビュー以後、メンバーが個別に訪れることはあったが、バンドとして店で演奏することはなかった。
店内の壁には平尾さんが寄贈したネオンサインが今も輝き、時が止まったかのよう。現在は年配客が中心で、ほぼ毎日のようにライブを行う。「やめられないね、まだ」。上西さんはつぶやいた。(田中幸美、写真も/SANKEI EXPRESS)
■「ヨコハマ グラフィティ ザ・ゴールデン・カップスの時代展」 8月13日(水)~25日(月)、横浜市西区南幸1の6の31、横浜高島屋8階ギャラリーで。午前10時~午後7時30分(午後8時閉場、最終日は午後6時閉場)。一般800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。問い合わせは(電)045・311・5111、横浜高島屋まで。