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フランスとブラジル 音楽の密接な関係 トリオ・エスペランサ、ステファン・サンフアン

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フランスとブラジル 音楽の密接な関係 トリオ・エスペランサ、ステファン・サンフアン

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1961年にブラジルで結成されたコーラスグループ、トリオ・エスペランサ(提供写真)  フランスとブラジル。一見関係なさそうだが、音楽的には意外にも共通項が多い。例えば、ボサノバの創始者である作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンは、ドビュッシーなどフランス印象派の影響を受けたそうだ。また、フランス人歌手ピエール・バルーは1960年代に映画「男と女」でサンバを歌ってブレークした。両国ともアコーディオンを使う音楽は多いし、言語も違うのに行き来するミュージシャンも多数いる。今回はそんな関係を象徴する2組のアーティストを紹介したい。

 響きが美しい言語

 最初は、ベテランのトリオ・エスペランサ。60年代のリオで活躍したコーラスグループで、3姉妹で構成されている。彼女たちの息の合った美しいハーモニーは、ボサノバ全盛期に多くのアーティストをサポートしてきた。そして、ブラジル録音のためにやってきたポール・モーリアに見初められ、彼のレコーディングやワールドツアーに参加。そのことをきっかけに、20年前からフランスを拠点に活動を続けている。

 最新アルバム「ビューティフル・ハーモニー~ときめきのシャンソン名曲集~」は、タイトル通りジャック・ブレルやエディット・ピアフなどが歌ったシャンソンの名曲を、ボサノバやサンバのリズムでカバーした企画盤。曲によってはポルトガル語詞で歌っているが、どちらも響きが美しく違和感がない。いずれの言語も音楽的であることに気付かされる秀作だ。

 刺激的な作品集

 もうひとりは、パーカッションをメーンにしながら、ボーカルも見事なステファン・サンフアン。スペイン系フランス人であり、しばらく英国で活動の後にリオデジャネイロへ流れ着いたというボヘミアン気質のミュージシャンだ。

 オルケストラ・インペリアルという若手音楽家たちで結成したビッグバンドに参加して重要な役割を果たし、多くの新しい感性を持ったブラジル人アーティストと交流してきた実力派。初のソロアルバム「サウンド・システム」は、そんな百戦錬磨のキャリアが表出したノンジャンルの面白さがたっぷり。

 セルジュ・ゲンスブールに影響された低音ボイス、少しレトロなバンドサウンド、躍動感に満ちあふれたサンバのリズムなどが交錯する刺激的な作品になっている。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS

 ■Trio Esperanca 1961年にブラジルで結成されたコーラスグループ。レジーナ、エヴァ、マリーザの3姉妹はボサノバ全盛期に多くの録音を残したが、ポール・モーリアに認められて渡仏。最新作はシャンソンをボサノバ風に歌った「ビューティフル・ハーモニー~ときめきのシャンソン名曲集~」。

 ■Stephane San Juan 1971年、フランス生まれのパーカッション奏者、ドラマー、ボーカリスト。95年からロンドンで音楽活動を行い、2002年にブラジルのリオデジャネイロに移住。オルケストラ・インペリアルから高野寛まで多彩なジャンルでセッションを行う。

 ■くりもと・ひとし 音楽&旅ライター、選曲家、ビルボードライブ企画プランナー。2年間の中南米放浪の経験を生かし、多彩なジャンルで活動中。情報サイト、All Aboutでアルゼンチンのガイドを担当。最新著書は「アルゼンチン音楽手帖」。

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