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ハリウッドを蝕む薬物と酒 ロビン・ウィリアムズさん自殺の背景
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米カリフォルニア州ロサンゼルス・ハリウッド 米オスカー俳優のロビン・ウィリアムズさん(63)が8月11日、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊の自宅で死亡しているのが見つかった。1980年代初頭、アルコールとコカイン中毒に陥ったのを機に更生施設への入退院を繰り返し、最近は重度の鬱病も患っていたため、それらを苦にした自殺とみられる。
米では2月、オスカー俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンさんがヘロイン中毒により46歳で急死したばかりで、全米がその死に衝撃を受けている。
「彼はパイロット、医師、ベビーシッター、大統領、教授、そしてそれらの間にいる全てだった。最初は宇宙人として登場し、やがて、全ての人の琴線に触れる存在となった」
バラク・オバマ米大統領(53)は追悼談話でこう述べ、「われわれを笑わせ、泣かせ、それを必要としている人たちのため、無限の才能を惜しみなく発揮した」とその功績をたたえた。大統領が自らハリウッドスターの死に関して追悼談話を発表するのは異例だ。
米紙ロサンゼルス・タイムズや米FOXニュース(いずれも電子版)などによると、11日午前11時55分、緊急通報があり、自宅に到着した救急隊員らが既に意識がなく呼吸停止状態のウィリアムズさんを発見。その後、死亡が確認された。マリン郡の保安官事務所は死因について「自殺による窒息死の疑いがある」と発表した。
3人目の妻スーザン・シュナイダーさんは声明で「私は夫、そして親友を失い、世界は愛される芸術家で最も素晴らしい人物を失った。胸が張り裂ける思いです」と嘆き、広報担当のマラ・バックスバウム氏は「彼は重度の鬱病と闘っていた」と明かした。
ウィリアムズさんは米シカゴ生まれで、父は自動車メーカー、フォードの重役、母はモデルで祖先に大物政治家もいた厳格な名門家庭に育った。俳優を目指し、ジュリアード音楽院で演劇を専攻。卒業後、78年から2年間テレビ放映されたコメディードラマ「モーク&ミンディ」で人気を博し、実写版「ポパイ」(80年)のポパイ役で映画スターの仲間入りを果たした。
アカデミー賞助演男優賞を獲得した「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97年)や「いまを生きる」(89年)など30年以上にわたり名優兼コメディアンとして活躍した。
しかし、私生活は荒れていた。急激な成功から来るプレッシャーで80年代初頭、アルコールとコカイン中毒に苦しむが、友人の俳優兼コメディアン、ジョン・ベルーシさんが82年に薬物中毒によって33歳で急死したことに衝撃を受け、酒もコカインもやめた。
ところが2006年、誘惑に負け再びアルコール中毒に陥り更生施設に。今度こそ立ち直ったかに見えたが、先月はじめ、アルコールや薬物中毒を深刻化させず「落ち着いた状態を保つ」ためとして、更生施設に数週間入所したばかりだった。
2月に急死したホフマンさんも長年アルコールと違法薬物(ヘロイン)中毒に苦しみ、更生施設の入退院を繰り返した。米国では最近、アヘン系の処方鎮痛剤で薬物依存と化した人々が安価なヘロインに手を出す例が急増しており、社会問題となっている。
今回のウィリアムズさんの死も、長年のアルコールや薬物中毒が遠因にあるとみられ、米国で薬物問題への取り組みが強化される契機となりそうだ。
ウィリアムズさんの遺作は、夜な夜な展示物が動き出す美術館が舞台の人気シリーズ第3弾で、12月公開の「ナイトミュージアム3」になるという。(SANKEI EXPRESS)