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偽エルモ騒動第2幕 「僕たちは団結して戦う」
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米ニューヨーク・マンハッタン区のタイムズ・スクエア 追い詰められたタイムズスクエアの「エルモ」たちがついに大同団結を始めた。米メディアが一斉に報じたところによると、夏休みの観光客でにぎわう米ニューヨークのタイムズスクエアを偽物のエルモや「ミッキーマウス」が、観光客と写真を撮ってチップを受け取る権利を主張して大行進。最低限の暮らしを営むためとして連帯組織の立ち上げを宣言し、市当局の取り締まりに対抗する姿勢を打ち出したのだ。「言論の自由」が保障される米国で、着ぐるみの着用を規制できるかが問われている偽エルモ騒動。パフォーマー側が逆襲に出た第2幕の行方やいかに-。
今回の騒動は8月上旬、ニューヨーク市警やタイムズスクエアの商店街などが、偽物キャラクターの規制を強化したことが発端。市警などがタイムズスクエアを訪れる観光客に対して「着ぐるみのキャラクターとの写真撮影は無料です。チップの支払いはあくまでオプションとなります」と書かれた真っ赤な小冊子を配布し、偽キャラたちにチップを支払わないよう呼びかけたのだ。
小冊子は英語のほか、スペイン語など5つの言語で書かれたものを配った。米FOXテレビ(電子版)は、今回の小冊子の配布は7月末に「スパイダーマン」の衣装を着たストリートパフォーマーの男がチップの支払いをめぐって女性と口論のうえ、止めに入った警官を殴って逮捕された事件がきっかけとなったと報じた。
FOXテレビによると、米教育番組「セサミストリート」のエルモや、ミッキーマウスなどディズニーのキャラクターの着ぐるみを着て観光客と写真に納まり、チップを要求するパフォーマーの大半はスペイン語圏からの移民で、彼らは先週末ごろから「最低レベルだった生活が今回の一件で脅かされる結果になっている」と非難の声を上げていたという。
現地時間8月19日にタイムズスクエアで行われた大行進には、今回の措置に業を煮やした偽キャラたちが一堂に集結。自分たちは公共の秩序を乱したり、粗暴な振る舞いで逮捕された連中とは一線を画していると主張し、「笑顔のために連合するNYC(ニューヨーク・シティー)アーティストの会」の結成を宣言した。
「ミニーマウス」の着ぐるみを着てこの集会に参加した女性のパフォーマー、ジョバンナ・メレンデスさん(38)はロイター通信に「私はどんな天気の日だって(生きていくために)この場所に立っている」と強調。参加したパフォーマーたちは、彼らが1日に得る50~70ドルのチップは、全米の最低賃金より安いものだと訴えた。
「自由の女神」の格好でタイムズスクエアでパフォーマンスを演じているボニー・ムネカ氏は、マスクを外し素顔で集会に参加した。AP通信によると、彼らは市当局が小冊子を配り始めたせいで今月(8月)に入って収入が激減しており、写真撮影時のチップの支払いにより最低限の生活を維持する権利を認めるよう主張している。
パレードには移民や労働者の権利保護を掲げる非営利団体の代表らも参加し、パフォーマーの権利を守れと主張。キャラクターの著作権問題に端を発したニューヨーク市の偽エルモ騒動は、いつしか労働、移民政策の問題にまで発展しそうな気配を見せ始めている。(SANKEI EXPRESS)