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皮肉の「がれきチャレンジ」 氷水なきガザ インドはコメ1杯寄付
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パレスチナ自治区ガザ地区で、氷水ではなく、がれきをかぶるジャーナリストのアイマン・アルール氏=2014年8月22日、イスラエル(本人提供・共同) 世界的に大ブームとなっている氷水を頭からかぶり難病患者支援の輪を広げる「アイス・バケツ・チャレンジ」が、形を変えて広がりをみせている。イスラエル軍の空爆が続くパレスチナ自治区のガザでは、現地のジャーナリストらが世界に惨状を訴えるため、がれきを頭からかぶる映像を公開。インドでは、バケツ1杯のコメをかぶるのではなく、貧しい人々に寄付しようと呼びかける運動が起きた。新たな運動には、多数の有名人がパフォーマンスを繰り広げ、「セレブのお遊び」との声もある氷水かぶりに対する“皮肉”も込められている。
「アイス・バケツ・チャレンジのアイデアが気に入ったので、パレスチナ・バージョンを作ることに決めたんだ」
ジャーナリストのアイマン・アルール氏は、動画投稿サイトのユーチューブで公開した映像の冒頭でこう説明。空爆で崩壊したビルの前に立ち、バケツに入れたがれきを知人に頭から豪快に浴びせられた。
そして、「バケツに入れる水を探したが、水はとても貴重だ。水があっても(停電で)凍らせることは困難だ。そこで辺りを見渡すとご覧のような状況だったので、氷水の代わりに、がれきを使うことにしたんだ」と語った。
報道によると、このパフォーマンスはヨルダンのコメディアン、モハメッド・ダルワザ氏が8月22日に開始。アルール氏が(8月)24日に映像を公開し大きな話題になったという。
交流サイトのフェイスブックには「ラブル(がれき)・バケツ・チャレンジ」と命名された公式ページが立ち上げられ、(8月)26日現在、約4100人が「いいね」をクリックして賛同。カナダやマレーシアでチャレンジする人も現れた。
ガザではイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの停戦交渉が(8月)19日に決裂し双方が戦闘を再開。7月8日から始まった空爆で破壊された家屋は約1万7000軒に達している。氷水はないが、がれきならいくらでもある。それがガザの現状だ。
「どうして水を無駄にするのですか? 私はもっと地元に役立つことをしたい。みんなが毎日食べるコメはここではとても大切なもので、何カ月も保存できる。なぜ貧しい誰かにコメを寄付しないんですか?」
インドでは女性ジャーナリスト、マンジュ・ラサ・カラニディさんの呼びかけによって、「ライス・バケツ・チャレンジ」と名付けられた運動が(8月)24日に始まった。米CNNテレビなどが伝えた。
コメをかぶるパフォーマンスはなく、貧しい人たちに目を向けてほしいという呼びかけだ。フェイスブックの公式ページでは(8月)26日現在、約2万6000人が賛同。海外からも賞賛のメッセージが寄せられた。インドでは氷水かぶりを超える広がりを見せているという。
難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」への認知を高め、治療法の研究支援を目的に始まった氷水かぶりは、米国で寄付金が7000万ドル(約70億円)を超えた。その一方で、お祭り騒ぎのようなブームに批判的な声も出ている。がれきをかぶったアルール氏は、ブーム化に警鐘を鳴らすかのようにこう語った。
「俳優や大統領といった世界的に有名な5人が挑戦してくれたら、このメッセージの伝達は成功したことになる」(SANKEI EXPRESS)