SankeiBiz for mobile

サッカー日本代表初招集 若きFW3人に「アギーレ効果」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのスポーツ

サッカー日本代表初招集 若きFW3人に「アギーレ効果」

更新

鹿島戦で同点ゴールを決め、試合後サポーターに手を振る武藤嘉紀(よしのり)=2014年8月30日、茨城県鹿嶋市・カシマサッカースタジアム(中井誠撮影)  見るからにさわやかなこの青年は、FC東京のFW、武藤嘉紀(よしのり、22)。現役の慶応大学経済学部4年生でもある。前任ザッケローニに代わって日本代表監督に就任したハビエル・アギーレに初招集された次代を担うストライカーだ。

 8月30日の鹿島戦では0-2の劣勢で迎えた後半4分、自身の突破でPKを獲得。エドゥーが決めて1点差とすると、42分にはこぼれ球に詰めて同点ゴールを突き刺した。

 武器は裏への飛び出しとスピード豊かなドリブルだが、インタビューに答えれば弁舌さわやか、いたって謙虚。これまでの日本のFWにいなかったタイプでもある。

 すでに人気上昇中。アギーレ・ジャパンのスター候補でもあるが、抜擢(ばってき)に奮起したのは武藤だけではない。

 5日のコロンビア戦に向けて選ばれた初代表組は5人。このうち武藤を含む3人が攻撃の選手だった。

 神戸のFW森岡亮太(23)は30日のC大阪戦で、後半ロスタイムの終了間際、ペドロジュニオールが相手DFを引き付けて出したラストパスを、冷静に左足でゴール右隅に流し込み、これが決勝点となった。

 スルーパスあり、ミドルシュートありの攻撃の万能選手。神戸の「10番」には、十分に代表に定着する技術がある。

 もう一人は広島の大型FW皆川佑介(22)。186センチの長身を生かしたポストプレーが持ち味で、7月にプロデビューを飾ったばかり。

 30日の徳島戦では相手DFのハンドで得たPKを、「蹴らせてください」と周囲に直訴して右隅に決めた。ルーキーがこれを受け入れられるところにも、皆川の持ち味はあるのだろう。「プレッシャーに負けるなよ」のチームメートの声は、PKだけではなく、初代表に向けた、はなむけの言葉だったのかもしれない。

 アギーレが呼んだ初代表FW3人がそろってゴールを決めた。アギーレ効果、もしくはアギーレ・マジックと呼んでもいいのかもしれない。

 ≪欧州組にも「マジック」波及≫

 張り切ったのは、国内の初代表組だけではない。

 イタリアのセリエAでは、ACミランの本田圭佑(けいすけ、27)が8月31日の開幕戦のラツィオ戦で4-3-3の右で先発し、前半7分、左サイドのエルシャーラウィからラストパスを受けて右足のワンタッチでGKの股下を抜くゴールを決めた。

 昨季は何かと風当たりの強かったミランの10番だが、新監督インザギの信頼は厚い。ブラジルW杯では勝利なしの敗退に顔色を失った本田だが、本場で最高の再スタートを切った。

 すでに開幕しているスイス1部リーグでは、バーゼルの柿谷曜一朗(かきたに・よういちろう、24)がホームのヤングボーイズ戦で、今季2点目を決めた。

 2-1で迎えた後半20分から途中出場し、右サイドのゴンザレスがドリブルでGKを引き付けて折り返したクロスを無人のゴールに蹴り込んだ。

 ドイツのケルンに移籍した大迫勇也(おおさこ・ゆうや、24)もシュツットガルト戦にトップ下で先発出場し、前半22分に左足の先制弾を決めた。これが移籍後初ゴール。大迫は本田、柿谷、マインツの岡崎慎司(28)。そして代表初招集の国内の3人とともに、攻撃陣の先発を争う。

 今回、故障を理由に招集を見送られた香川真司(25)にも大きなニュースがあった。

 マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に請われて移籍しながら、監督の交代などで出番を失い、昨季は厳しいシーズンを送ったが、古巣ドルトムント(ドイツ)への復帰が決まった。3季ぶり復帰の香川に、ユルゲン・クロップ監督は早くもトップ下での起用を明言している。

 クラブでの不遇がW杯での不調の原因ともされただけに、エース香川の古巣復帰にかかる期待は大きい。一日も早くドルトムントであの輝きを取り戻し、新生日本代表のエースとして帰ってきてほしい。

 しかし、これだけの攻撃陣。4-3-3の、どこに誰をはめ込むのか。アギーレも頭を悩ますだろう。悩みに悩んで機能不全に陥らぬことを望みたい。(EX編集部/撮影:中井誠、山田喜貴、ロイター、共同/SANKEI EXPRESS

ランキング