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【男子テニス】「マラソン・マン」錦織4強 全米オープン 日本選手96年ぶり快挙

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【男子テニス】「マラソン・マン」錦織4強 全米オープン 日本選手96年ぶり快挙

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米ニューヨーク  もう、誰にも止められない。テニス男子の錦織圭(にしこり・けい、24)=日清食品=が3日、ニューヨークで行われた四大大会最終戦、全米オープンの男子シングルスで、日本選手では1918年大会の熊谷一弥(くまがい・いちや、1890~1968年)以来96年ぶりとなる準決勝進出を果たした。日本の男子が四大大会のシングルスで4強入りするのは68年のオープン化(プロ解禁)以降初めて。錦織は男女を通じて日本勢初の四大大会シングルス決勝進出を懸け、6日(日本時間7日)の準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(27)=セルビア=に挑む。

 「ギアを上げられた」

 世界ランキング11位の錦織は、準々決勝で全豪オープン覇者の世界4位、スタニスラス・ワウリンカ(29)=スイス=を3-6、7-5、7-6、6-7、6-4で破った。

 2度のタイブレークを含む4時間15分の激戦を制すると、錦織は天を仰ぎ、両腕を開いてガッツポーズ。さらにコートから引き揚げる直前、ボール3つにサインすると、大歓声を送ってくれた観客席のファンに向かって高々とラケットで打ち込んだ。「とても驚いている。ハッピーだ。まだ4強の実感はわかないが、四大大会で(世界ランキングの)トップ10を2人破ったのは評価できる」と、錦織は素直に喜びを口にした。

 第1セットはワウリンカの片手打ちバックハンドの強打に苦しんだが、徐々にラリーの回数を増やし、自分のペースをつかんだ。第3セットのタイブレークでは後がない6-7で勝負に出て、ベースラインの2メートル近く後方からバックハンドをストレートに決めると絶叫。「いちかばちかだった」と起死回生の一打で流れを引き寄せ、このセットをものにした。

 第4セットは競り負けたが、最終セットは3度のブレークのピンチをしのぎ、相手サーブの第10ゲームをついに破って決着をつけた。「諦めずに戦えた。疲れた中で最後にギアを上げられたのは前回(2年前の全豪オープン準々決勝)できなかったこと」と誇った。

 抜群の回復力に称賛

 ミロシュ・ラオニッチ(23)=カナダ=を下して8強入りした前試合も4時間19分という消耗戦(試合終了時間は午前2時26分)。中1日で抜群の回復力を見せた錦織に米メディアも「マラソン・マン」と称賛を浴びせた。

 四大大会シングルス7勝の元世界王者、ジョン・マッケンロー氏(55)は錦織の躍進について、「(1989年の全仏王者)マイケル・チャン・コーチ(42)との二人三脚が奏功し、劇的にレベルが上がった」と指摘する。昨年末、コーチに迎えたアジア系米国人で身長175センチと似たタイプのチャン氏からは、トップ選手と戦える技術と戦術、何よりも自信を植え付けられた。錦織は「とても心強い」と口にする。

 次の相手は、難敵・ジョコビッチ。しかし、2人の通算成績は1勝1敗で、2011年11月のスイス室内・準決勝では、当時世界ランキング32位の錦織が2-6、7-6、6-0で世界1位のジョコビッチを破る金星を挙げている。

 「どんどん敵が強くなってくる。勝てると思い込むことが重要だ。次も100%の力で臨みたい」と錦織。自分を信じて挑めば、もう一つはいってくれるはずだ。(SANKEI EXPRESS

 ■にしこり・けい 13歳で米国にテニス留学し、2007年に17歳でプロ転向。日本男子で08年に松岡修造(46)に次ぐツアー制覇を果たし、現在5度優勝。12年全豪オープンで四大大会初の8強、ロンドン五輪5位入賞。今年5月に世界ランキング9位になり、現行制度で日本男子初のトップ10入り。青森山田高出、日清食品。178センチ、74キロ。島根県松江市出身。

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