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【野口裕之の軍事情勢】鳩山元首相を「政治的禁治産者」扱いに
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首相在任中の2010年4月4日、一般人を招いた懇談会「リアル鳩カフェ」で着用し、酷評された鳩山由紀夫氏の5色のチェック柄シャツ。何やら迷走ブリを象徴していたかのようだ=首相官邸(共同) 今年のノーベル平和賞受賞の行方は、例年になく緊張した。中国政府が鳩山由紀夫元首相(67)を推薦したら、日中関係がさらに混迷の度を深めたに違いないからだ。ノーベル平和賞推薦で餌付けされ、伝書鳩宜(バトよろ)しく、鳩山氏が中国のお使いを買って出て、反日媚(び)中発言を一層激化させるのは必至だったろう。《日本国憲法第九条を保持してきた日本国民》が候補と化すなど「選考が政治的に偏向し過ぎ」との批判が絶えないノーベル平和賞は、ある意味で鳩山氏が受けるにふさわしい?一面もあり、来年以降も平和賞受賞候補者より目が離せない。
そう憂えていたら、うれしいニュースが入ってきた。地球上で最も権威も意義もない《孔子平和賞》の「有力候補」に、鳩山氏が顔を連ねたのだ。孔子平和賞は2010年、中国の民主活動家、劉暁波氏(58)のノーベル平和賞受賞決定を受け、激高した中国が対抗すべく急造した曰く付きの“賞”。受賞者は反体制メディア弾圧を続けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(62)ら、一党独裁の中国が評価するに値する顔ぶれ。もしくは、中国の「イエスマン」が並ぶ。今次候補者も鳩山氏他、産経新聞の前ソウル支局長を在宅起訴した韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)や、反体制組織を化学兵器で攻撃した可能性の高いシリアのバッシャール・アル=アサド大統領(49)ら、民主主義とは縁遠い指導者が浮上している。鳩山氏は彼らの系譜に連なる人物だと、中国共産党が高く評価したのである。
鳩山氏も孔子平和賞受賞を意識してか13日、ロシアまで出掛け、大統領側近の下院議長と会談し「日本政府、特に外務省は常に米国に配慮しなければならない状況に陥っている」と放言。ウクライナ危機で発動した日本の対露制裁は米国の圧力を受けた結果で、間違いだとの考えを強調した。日米同盟を危うくする点で孔子平和賞受賞に一歩近付く“時宜を得た発言”であった。
鳩山氏が抱く中国への愛は、次第に歴史を遡っている。これまでも、大日本帝國陸軍が1937年、中国人民を「大虐殺した」との虚構“南京事件”に「日本人として謝罪する義務が私にはある」と語ってはいた。ところが、在日華僑向け《日本新華僑報》に8月掲載されたインタビューは、題して《日本の鳩山元首相が日清戦争を語る「日本は反省しなければならない」》。“南京事件”の半世紀近く前の戦争を採り上げて、曰く-
《甲午戦争(日本名:日清戦争)120周年という筋目の今年、日本が最も考えなければならないのは、いかにして過去を反省するかということだ》
《1880~90年代は欧米列強の植民地政策が蔓延し、欧米を手本としていた日本もこれに倣い海外に進軍した。清朝時代の中国は不安定で、日本にとっては「手を下す絶好のチャンス」。こうして日清戦争が勃発した。だが、他国を侵略して自らの植民地とするこのようなやり方が間違っていることは明らかで、絶対にしてはならない》
当時の国際情勢や日本と清国、ロシア、朝鮮との安全保障関係を全く無視した乱暴な侵略説。しかし、日本政府を率いた宰相=鳩山氏は、沖縄県石垣市の「尖閣(諸島)は中国から見れば盗んだと思われても仕方がない」「中国にも中国の言い分がある」などと、日本政府の一貫した立場を無視するどころか否定しており、驚くには当たらない。振り返ると、鳩山氏が首相の座にいた9カ月間は安全保障上の深刻な危機だった。
米軍普天間基地移設に関し、鳩山氏は「基本的には県外、できれば国外」と公言し、日米関係を冷え込ませた揚げ句、撤回に追い込まれ沖縄県人を絶望させた。言い訳は「学べば学ぶにつけ(沖縄の海兵隊で)抑止力を維持できるという思いに至った」。日米同盟のイロハも知らぬ自衛隊最高司令官=鳩山氏は「トップの首相が大バカ者であれば、そんな国が持つわけがない」と臆面もなく訓示したが、奇跡的に「国は持った」。
もっとも、その後「『最低でも県外』と言ったのが間違いだったんじゃなくて、実現できなかったことが残念なんだ」と「県外」に再び回帰した。中国やロシアといった国々への不変の愛を除き、目まぐるしく変節する「鳩山的姿勢」に、英国の歴史学者アーノルド・J・トインビー博士(1889~1975年)は著書《歴史の研究》で警鐘を鳴らす。曰く-
《いかなる大帝国も衰弱して滅亡する。国家自ら決定する能力を欠くことが原因である》
《決定能力を欠く》鳩山政権が短命で終わり、日本は《滅亡》を免れた。ただし、首相経験者の鳩山氏が発言する度に、世界に反日シグナルが垂れ流され、国益は失われていく。いっそ「鳩山氏は外国の代理人。氏の発言は外国政府見解の代弁で、無視していただきたい」と国際社会に宣言。「政治的禁治産者」に指定できぬものか。
「禁治産者」指定はおろか、自衛隊の「鳩山最高司令官的人物」を「即、銃殺刑に処せ」と断じた名将も存在する。第一次世界大戦(1914~18年)で敗れたドイツ軍を再建し、第二次大戦(39~45年)における電撃戦を準備した独軍の頭脳ハンス・フォン・ゼークト上級大将(1866~1936年)。ゼークト将軍は、指揮官と部下の関係を4類型に分類した。即ち-
【有能な怠け者】前線指揮官向き。怠け者故、部下の力を遺憾なく発揮させ、どうすれば自分が、部隊が、楽に勝利できるかを考えるタイプ。
【有能な働き者】参謀向き。勤勉なので自ら考え、下準備も怠りなく、且つ実行せんとするものの、他人任せができず、部下を率いるよりも参謀として司令官を支える任務に適する。
【無能な怠け者】総司令官や連絡将校、下級兵士向き。自ら考え動こうとせず、参謀や上官の命令に従うためだ。
【無能な働き者】処刑するしかない。働き者ではあるが、無能故に間違いに気づかないまま進んで実行し、更なる間違いを犯してしまう。
政界引退後、有り余るカネと時間にモノを言わせ飛び回る鳩山氏は、紛う事なき「無能な働き者」。「鳩害」はマンションのベランダだけでなく、日本国民の名誉まで汚染し続けている。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)