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次のヒーローは女性&黒人 米マーベル 新作映画で「大転換」
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「アイアンマン」などのSFヒーロー映画で知られる米映画製作会社マーベル・スタジオズが1993年の創業以来初めて、女性やアフリカ系米国人(黒人)を主人公に据えた実写作品を手掛けることが29日、分かった。マーベルが米時間の28日に発表した2016~19年の新作ラインアップで明らかにしたもので、18年7月6日公開の「キャプテン・マーベル」では女性キャラクターである「ミズ・マーベル」が史上初めて女性の主人公を務める。
17年11月3日公開の「ブラックパンサー」は、マーベルコミック(漫画)の人気作「ファンタスティック・フォー」に登場する黒人キャラクターが主役。主人公を米俳優、チャドウィック・ボーズマンさん(37)が演じることも発表された。
いずれも米国で進む人種や価値観の多様化に対応したもので、09年にマーベルの親会社マーベル・エンターテインメントを買収した米ディズニーも昨年公開のアニメ映画「アナと雪の女王」で自立した女性の活躍を描き、大ヒットを飛ばした。こうした流れを受けて、「主人公はマッチョな白人男性」が定番だったマーベル映画でも、制作上の大転換が図られた格好だ。
米業界誌ハリウッド・リポーターやAP通信などによると、マーベルの発表会は米ハリウッドのエル・キャピタン劇場で行われ、16~19年に公開される9作品の概要が説明された。中でも注目を浴びたのが、マーベル作品で初めて女性が主人公を務める「キャプテン・マーベル」だ。
「キャプテン・マーベル」は1968年にマーベルコミックで連載がスタート。米空軍の女性兵士キャロル・ダンバースこと「ミズ・マーベル」が超人的能力で敵を倒す物語だが、漫画版は米社会の人種的な構成の変化などを背景にして今年2月から、主人公が米在住の16歳のイスラム教徒の少女カマラに変わった。
「アイアンマン」などのマーベル映画には主人公の仲間として米女優、スカーレット・ヨハンソンさん(29)が演じるスーパーヒロイン「ブラック・ウィドウ」が登場するが、こちらは純然たる白人。ロイター通信によると、ブラック・ウィドウは今後も他の作品に出演するが、彼女を主役に据えた映画を撮る予定はないという。
マーベルのケビン・フェイグ社長(41)は、2作品を「マーベルで初めて女性と黒人が主人公を務める作品になる」と紹介。「ブラックパンサー」で主役を演じるボーズマンさんは「マーベルの世界の一員となれることに感謝している。一緒に(映画の)魔法を作ることを楽しみにしている」と語り、会場に集まった約600人のファンを沸かせた。
発表会では「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の続編「2」を2017年5月5日に公開することや、来年の2作目に続く「アベンジャーズ」シリーズの新作を2部作として18年と19年に公開することも発表された。
それでも米メディアの関心は「ミズ・マーベル」を演じる女優は誰か、に集まっている。マーベルのライバルで「バットマン」などの作品で知られる米DCエンターテインメントと米映画会社ワーナー・ブラザーズは今月15日、16~20年の新作ラインアップを発表。この中で、DCコミックを原作とするスーパーヒロイン「ワンダーウーマン」が初めて実写映画化され、17年に公開されることが明らかにされたからだ。
主人公を演じるのは中東イスラエル出身の人気女優、ガル・ガドットさん(29)で、こちらも米国の娯楽産業で起きつつある変化を反映した配役として注目されている。(SANKEI EXPRESS)