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イスラエルの「マッチョな国民性」にインスパイア 映画「オオカミは嘘をつく」
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アハロン・ケシャレス監督(右)とナヴォット・パプシャド監督=2014年10月8日、東京都港区(小野淳一撮影) □アハロン・ケシャレス&ナボット・パプシャド両監督に聞く
イスラエルのテルアビブ大学で映画の魅力を伝えてきた教師のアハロン・ケシャレス(38)と、教え子のナボット・パプシャド(34)が監督と脚本を担当し、2作目のクライム・サスペンス「オオカミは嘘をつく」を作り上げた。
ある日、森の中で少女の惨殺死体が発見された。少女の頭部は切断され、行方が分からなくなっていた。強引な手法で独自捜査を進める刑事のミッキ(リオール・アシュケナズィ)は、虫も殺せない顔をした地元の中学教師、ドロール(ロテム・ケイナン)を容疑者として拘束する。だが、そこへ少女の復讐を果たそうとする父親、ギディ(ツァヒ・グラッド)が現れ、ミッキとドロールを拉致して自宅へ連れて行き、ドロールに拷問を始める。
シーンの一つ一つからイスラエル社会に漂う荒っぽい空気感が伝わってくる。ケシャレス監督は、周辺のアラブ諸国と争いの絶えない「マッチョな国民性」にインスパイアされたという。パプシャド監督は「ユダヤ人はホロコーストを経験した結果、敵から子供たちを守り、生き延びる方法を真っ先に考えます。そのためには先制攻撃も辞さない。子供っぽい社会なんですよ」。
最近、正義の行動とは何かと問うイスラエル国民も出てきたそうだ。2人は作品を通して答えを押しつけるつもりは毛頭ないが、イスラエル国民が当然と考えてきた正義が、実は悲劇の連鎖を生み出すとんでもない代物でしかない、と言いたげだった。11月22日から全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:小野淳一/SANKEI EXPRESS)