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経済
つぶやきで極秘買収ばれた 米ツイッター最高幹部が大失態
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ニューヨーク証券取引所に掲げられたツイッターのシンボルマークの巨大な旗。最高幹部の一人が株価にも大きな影響を及ぼす企業秘密をツイッターでつぶやくという大失態をやらかした=2014年10月7日、米ニューヨーク(ロイター) 米ツイッターの最高幹部の一人が、極秘に進めていたとみられる企業買収計画を誤ってつぶやいてしまう大失態を犯し大騒動になっている。あわてて削除したが、後の祭り。瞬く間に知れ渡り、米株式市場では買収先をめぐる観測が飛び交っている。世界にはこれまでも軽率なつぶやきで身を滅ぼした人が大勢いるが、ネット上では「幹部でも使いこなせない」と揶揄(やゆ)する声も。業績不振が続くツイッターにとっては、利用者離れが加速しかねず、うっかりミスではすまされない重大事だ。
「私はそれでも彼らを買収すべきだと思う。スケジュールは12月15日か16日だ。説得せねばならないが、私には考えがある」
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ツイッターの最高財務責任者(CFO)であるアンソニー・ノト氏は24日午後3時27分、自身のツイッターでこうつぶやいた。政治家や芸能人、企業も情報公開手段として利用しているツイッターだが、上場企業のCFOが株価に大きく影響する未公開の企業秘密を堂々と公にするはずがない。特定の個人に送信するはずだったメールを投稿してしまったとみられている。
失態に気づいたノト氏はすぐに削除したが、約9300人のフォロワーの多くがこの投稿を保存。米ケーブルニューステレビ局「フュージョン」の編集者ケビン・ルーズ氏が「ツイッターのCFOがM&A(企業の合併・買収)に関するダイレクトメッセージの送信に失敗」とツイッターに書き込むと、米メディアや株式市場関係者の知るところとなった。
ノト氏は米大手投資銀行ゴールドマン・サックスでIT企業担当部門の責任者を務め、アナリストとしても名をはせた人物。昨年11月にツイッターがニューヨーク株式市場に上場した際に主幹事銀行の担当者として中心的役割を果たした。その縁で今年7月にツイッターに移籍したばかり。
ツイッターは、株式上場で調達した18億ドル(約2200億円)の資金を元手に今年に入り、すでにITベンチャーなど4社を買収している。次の狙いが分かれば、先回りして株価の値上がりでひと儲けできるし、ライバル企業なら妨害も可能だ。
このため、株式市場では、買収先として月間1900万人が訪問する若者向けサイト「ミック・ニュース」の名前があがったほか、米経済専門局CNBCは、自撮り写真共有アプリの「ショッツ」を買収する方向で協議しており、ノト氏がつぶやいた計画に含まれていると報じた。
ツイッターは7~9月期決算で最終赤字が前年同期比2.7倍の1億7550万ドルに膨らむなど業績が低迷し株価も低調だ。
最大の原因は現在2億8400万人いる利用者の伸び悩み。ツイッターをめぐってはこれまでも数々の失敗が明らかになっている。米国では2011年に民主党下院議員だったアンソニー・ウィーナー氏が自分の下半身の写真を知り合いの女性に送信しようとして誤ってツイッターで公開してしまい、辞任に追い込まれたのが有名。日本でも愚か者が墓穴を堀り、さらしものになることから別名“バカッター”とも呼ばれている。
最高幹部自らが自社サービスの危険性を改めて世に知らしめてしまった“逆宣伝”の打撃は小さくない。つぶやきにはくれぐれもご注意を!(SANKEI EXPRE