SankeiBiz for mobile

作品や取り組みに次代へのヒント 「活動のデザイン THE FAB MIND」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

作品や取り組みに次代へのヒント 「活動のデザイン THE FAB MIND」

更新

アルヴァロ・カタラン・デ・オコン「ペット・ランプ」(2012年~)=2014年11月11日、東京都港区(原圭介撮影)  【アートクルーズ】

 デザインを見ると、世界の動きや問題が見えてくる-。そんな展覧会「活動のデザイン THE FAB MIND」が、21_21 DESIGN SIGHT(東京・赤坂 東京ミッドタウン・ガーデン)で開かれている。11カ国24組のデザイナー、アーティストらが、刺激的で、次代を切り開くヒントに満ちた作品や取り組みを発信している。

 廃棄物で物づくり

 展示物のいくつかを紹介しよう。

 天井から下がったいくつかの灯りは、茶道の茶筅(ちゃせん)から発想を得た「ペット・ランプ」。切り込みを入れたペットボトルを縦糸に、横糸には各国特産の植物などを使った照明で、伝統的な手織りの技術や模様を生かしている。廃棄物を利用することで、伝統工芸を伝えていこうという試みだ。すでにチリとコロンビアで製品化されている。

 展覧会の企画・構成を担当したのは、川上典李子、横山いくこの両ディレクター。川上ディレクターはペット・ランプについて、「いま世界では、物づくりが無理をしないで健全に、どう存続できるかが問題。ペット・ランプは、問題解決にヒントになる取り組みだ」と評価する。

 世界の物づくりは、経済の国際化とともに激しい競争にさらされている。中国などから安い製品が入ってきて、伝統的な工芸が経営上立ち行かなくなる国もあれば、日本のように国などの保護が手厚すぎて技術の改良が進まない国もあるという。

 ペットボトルを使った工芸は、ドイツを拠点に活動するフローリー・サルノットがアフリカ・西サハラで取り組む「プラスティック・ゴールド」も同じ。ペットボトルを線状に刻み、金色に染めて、美しいレースの首飾りに編み上げる。

 工芸をコミュニケーションや町おこしのツールに利用したのが「ロースさんのセーター」。オランダ・ロッテルダムのシャロアー地区で、ロースさんが60年間編み続けてきたセーター500着に住民が袖を通してダンスを踊った。160カ国から移民が集まっているシャロアー地区の“一体感”を醸成するのに、大きな力となった。

 情報社会を批判

 一方で、地球規模では、テクノロジーや情報社会という面で、格差がどんどん広がっている。あふれる情報社会と無縁の人々に情報発信の機会を持ってもらおうという試みもある。「ストーリー・ベース」は、南アフリカでビーズ細工を手がける女性5人との会話を英語に置き換え、ビーズをつなげた文章として瓶にかぶせた。

 女性たちは文字を学ぶ教育を受けていない。ビーズの文章の中には「夫は私以外の女性を妻に迎え、とてもやりきれない」など一夫多妻制への悲しみなどがつづられ、まるでツイッターの一言のように表現されている。

 どんどん進む文明や環境破壊に対し、批判的な作品もある。「100年後の水筒」は、放射能汚染や海面上昇が自然を破壊し、飲料水もほとんど確保できなくなった未来を想定。人体そのものに水を蓄えるための人工臓器を設置するなどのデザインを提案し、警鐘を鳴らす。

 また、ダグラス・クープランドは「21世紀初頭のスローガン」で、「インターネットのない貧困は本当に恐ろしいだろう」「ダウンロード不可能なものは全て蓄積しろ」などの言葉で、インターネットが象徴する、情報があふれかえる社会の危うさを痛烈に批判する。

 「ジェネレーションX~加速された文化のための物語たち」の著書でも知られるクープランドについて、横山ディレクターは、「言葉がシャープで、ユーモアやアイロニーもある。日本ではもう一つ批判的な文化が育っていないが、つねに批判的に社会をみている彼の視点や言葉は参考になる」と共感する。

 さまざまな分野から

 展示物には、ほかに家庭に伝わる酵母菌を展示し、知識や気持ちを共有する「リビング・アーカイヴ」、物事を別の角度から考える「望遠鏡のお化け/長い望遠鏡」、竹などで作った球状の工作物を転がし、埋められている地雷を爆破して除去する「マイン・カフォン」など、さまざまな分野に及んでいる。

 両ディレクターが、展覧会の狙いとして訴えるのは、当たり前だと思っている社会をもう一度、見直すことの重要性だ。展示をみた人がテーマ性を持って議論をしたり、展示から得た見方や知恵を、変化していく社会を生き抜くヒントに利用してくれることを願っている。(原圭介/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■「活動のデザイン THE FAB MIND Hints of the Future in a Shifting World」 来年2月1日まで、21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区赤坂9の7の6、東京ミッドタウン・ガーデン内)。一般1000円。(電)03・3475・2121。

ランキング