ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
世界自然遺産 ベトナム・ハロン湾クルーズ 3000の島々 龍が降りた「海の桂林」
更新
周囲の空と海が薄紅色に染まる世界自然遺産ハロン湾の夜明け=2014年10月27日、ベトナム北部(佐藤良一さん撮影) 周囲が薄紅色の朝もやに染まっていく中、宿泊したクルーズ船の屋上デッキで四方を見渡す。無数にある島の影が徐々に浮かび上がってきた。前日の夕焼けも素晴らしかったが、一日の始まりとなる夜明けにまた新たな感動が込み上げてくる。
ベトナムの首都ハノイからバスに乗り3時間半ほどで、ハロン湾クルーズの起点となるバイチャイに到着。世界自然遺産ハロン湾の4万3400ヘクタールに及ぶ広大な湾内には、大小3000以上(世界遺産エリアには1500以上)の島々が点在する。「海の桂林」とも呼ばれ、奇妙な形の岩が幾重にも延びていく景色は水墨画のようだ。
中国・桂林からハロン湾まで連なる石灰岩層の浸食が不思議な景観をつくり出し、スンソット洞窟をはじめ島々には多数の鍾乳洞が存在する。
ハロンは「龍が降りた」という意味のベトナム語。敵に包囲された際、龍の親子が現れて口から宝石を吐き出して船を沈めていったという伝説が残る。その宝石が大小さまざまな形の島になったそうだ。
乗船したのは18世紀まで海の主役だった木造帆船(ジャンク船)を模したバーヤクラシックII号。洗練された白の外装に対し、内装は落ち着いた焦げ茶をベースにしている。乗客のほとんどが欧米人だ。日本人を含めアジア諸国からの旅行者は日の入り、日の出を見ることなく日帰りでハノイに戻ってしまうという。もったいない話だ。
≪消えゆく水上村…小学校も閉鎖≫
日の出、日の入りを毎日眺めているぜいたくな人たちがいる。水上生活者だ。ドラム缶や発泡スチロールに木をくくりつけた土台にコンパクトながらしっかりした家屋を建てて住んでいる。水道、発電機も備えており意外と快適そうな暮らしぶり。
バーヤクラシックII号から小さなボートに乗り換えて水上村のターミナル駅のような“浮島”に移動。そこからさらに小さな手漕ぎボートに乗り換えて村をゆっくりと回った。海まで出掛けるのが面倒になった漁師がそのまま住みついたのが始まりらしい。
ガイドのフォンさんは「昔はバラバラに住んでいたけれど、50年くらい前にブンビエン村という一つの自治体になった。200~300人の村民がいて水上に小学校もあった」と話す。過去形なのは今年に入って政府が陸上に揚がって生活することを奨励し始めたからだ。学校は閉鎖され住民は半分くらいに減ったそうだ。
「政府が陸上に家を建ててあげている。子供の勉強や生活のためにです」。水上村自体が観光コースとなり、村民たちはクルーズ船の客を相手に魚介類や土産物を販売している。無理に上陸させなくとも、と思うのだが。
たばこを切らしたので“浮島”の売店で購入した。8万ドン(約400円)というベトナムではあり得ない高額を請求されたが、ここまで運んできた手間賃を考えれば妥当か。水上村の小学校を出たばかりくらいの売り子が、自分よりもはるかに上手な英語を話していたのが印象的だった。(文:産経デジタル 長浜明宏/撮影:カメラマン 佐藤良一/SANKEI EXPRESS)