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偽造品対策費に192億円 アリババ躍起 9000万点削除、イメージ払拭狙う

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偽造品対策費に192億円 アリババ躍起 9000万点削除、イメージ払拭狙う

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 中国の電子商取引最大手アリババグループは米時間の23日、自社サイトに出品されていた偽造品を削除するため、2013年1月~今年11月までに総額1億6000万ドル(約192億円)を費やしたと発表した。9月にニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を果たし、米ネット通販大手、アマゾン・コムなどと同じ土俵で戦うことになったため、中国のサイトは偽造品が多いという印象を払拭したい思惑がある。今後、偽造品対策をさらに強化するが、アリババでは人権意識の低いアフリカの独裁国家を得意先とする「ある商品」の販売も問題化しており、西欧諸国の理解を得る取り組みはまだまだ不十分なようだ。

 専門部隊にボランティアも

 12月23日付英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)やBBC放送(いずれも電子版)などによると、アリババは2000人の専門部隊と5400人のボランティアを使い、16ドル(約1900円)のカルバン・クラインのクラッチバッグや90ドル(約1万830円)のティファニーの指輪、8ドル(約960円)のキャス・キッドソンのリュックサックなど、明らかに偽造品と分かる商品計約9000万点を削除したと発表した。

 アリババのジョナサン・ルー最高経営責任者(CEO)は声明で「偽造品との戦いにおいて、わが社は重大な責任を負っている」と明言。来年、追加で200人の専門部隊を投入し、偽造品の削除を強化する方針を打ち出した。

 また、ジャック・マー創業者兼会長(50)も23日、「もしも偽造品が(ネット販売の世界で)効果的に排除されていないなら、アリババグループがすべきことは多い」との声明を発表。偽造品対策に本腰を入れる意向を示した。

 米イーベイも年24億円投入

 1999年、浙江(せっこう)省杭州(こうしゅう)市のアパートの一室で設立したアリババは、企業や個人間の電子商取引で中国人を虜(とりこ)にし、売上高も急上昇。9月にはNYSEに新規上場し、史上最大規模となる約250億ドル(約3兆円)を調達して米グーグルに次ぐ世界第2位のネット企業となった。

 しかし、ビジネスの中心が海賊版や偽造品だらけの中国市場とあって、欧米は冷ややかに見ていた。実際、アリババは12年まで、知的財産権(IP)の侵害を理由に、米通商代表部(USTR)作成の“悪名高き市場”リストに掲載されていた。

 しかし、こんなネガティブなイメージのままでは欧米市場で成功できるはずがない。そこで、自社サイトから偽造品を一掃する策に出た。

 アリババに限らず、電子商取引やネット通販を行う企業にとって偽造品は頭の痛い問題で、米ネット競売大手イーベイも、偽造品をつかまされた顧客に落札代金を返金する「買い手保護プログラム」で年間、2000万ドル(約24億円)を費やしているという。

 アリババのルーCEOはFTに、ネット上では偽造品の排除は容易であると指摘し、「取引データを分析すれば、偽造品のネット販売元を追跡できる。ビッグデータを使えばオフラインでも発売元を追跡でき、規制当局にも協力できる」と胸を張る。

 拷問器具販売が問題に

 しかし、別の大きな問題も持ち上がっている。10月7日付米国際ニュース専門サイト、グローバルポストは、人権団体アムネスティ・インターナショナルと英調査会社メガ・リサーチ財団の9月の発表を引用し、親指錠や電気ショック棒といった拷問・虐待器具をアリババのサイトが販売していると報じ、物議を醸した。

 アリババにとって、偽造品以上に問題のあるこうした商品の削除は不可欠だ。

 また、肝心の偽造品問題に関しても、BBCは、昨年、米税関が押収したIP侵害商品の93%は中国・香港製だと報道。米小売りアナリストのニール・サウンダース氏は米経済専門局CNBCに「偽造品の数は膨大で、アリババやイーベイの取り組みは負け戦だ」と抜本改革の必要性を訴えている。(SANKEI EXPRESS

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