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商用無人機 離陸阻む免許制 米当局が規制案 パイロット人件費重荷に

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商用無人機 離陸阻む免許制 米当局が規制案 パイロット人件費重荷に

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タブレット端末を使って自社製の無人機を操作してみせる仏パロット社のセドゥ最高経営責任者(CEO)。パイロット免許の取得が義務付けられれば、手軽にこうしたパフォーマンスを行うことも不可能に…=2014年11月7日、フランス・首都パリ(AP)  米国で無人機の商用利用が解禁されても無人機を操作するパイロットの人件費が高すぎて、アマゾンやグーグルが計画しているような無人機による配送サービスが実現できない可能性が出てきた。26日付米CNNテレビ(電子版)は、大企業が既に無人機の操縦者に時給50ドル(約5900円)、年収だと10万ドル(約1180万円)を支払っているとする米ノースダコタ大学無人飛行機システム研究センター所長、アル・パーマー氏の見解を紹介。米連邦航空局(FAA)は商用解禁に合わせ操縦者を免許制とする規制案を検討しており、人件費の高騰でビジネスとして割が合わなくなる公算が大きいためだ。

 農業・宅配など期待

 米国ではこれまで無人機の使用は軍事目的に限られ、民間企業による利用は原則禁止されていた。しかし、小回りが利く上、パイロットが不要な無人機は企業にとって導入のメリットがあり、米アマゾンは昨年12月、商用利用の解禁を見越して小型無人機を使った配送サービスを行う計画を発表。米グーグルも今年4月に米国内の無人機製造ベンチャーを買収し、8月にはアマゾンに続く無人機配送サービスへの参入を明らかにしていた。

 無人機の活用は配送サービスだけに限らない。米フェイスブック(FB)は無人機を衛星のように使い、アフリカなどでネット接続を可能にするサービスを行う計画で、超大型ソーラー無人機の試験飛行を来年に行うと発表している。米金融情報サイト、マーケットウォッチは、無人機の商用利用による市場規模は2025年に820億ドル(約9兆7000億円)に達し、農業や建設、宅配などの分野で10万人の新規雇用を生み出すとの業界団体の試算を掲載した。

 実際、FAAは今年6月、民間企業である英石油大手BPがアラスカ州の油田設備管理のため無人機を利用することを初めて認め、9月には映画制作などに限って飛行を認可するなど、商用利用に向けた動きを強めている。

 年収1180万円から

 それだけに操縦者の人材確保は熾烈(しれつ)なようで、ノースダコタ大が08年に創設した無人機パイロット養成学科では、卒業生の多くがボーイングやノースロップ・グラマンなど大手の軍需・航空機メーカーに就職。CNNは「年収は1180万円以上」として、大学生の有望な就職先になっているとの見方を示した。

 しかし、学生にとっての「売り手市場」は企業にとっては「割高」を意味する。加えて、FAAが12月にまとめる規制案は、無人機の操縦者にパイロット免許の取得を義務付ける内容で、操縦者のさらなる高給化を招いて企業経営を圧迫する事態は避けられそうにない。

 規制案によると、無人機の飛行は日中だけで高度は122メートル以下、飛行は操縦者が目視できる範囲に限定するなど、飛行に関する制約も多い。この条件だとアマゾンとグーグルが検討するような無人機の小回りを生かした配送サービスは認可されない公算が大きい。

 小規模企業に深刻影響

 ワシントン大学でロボット政策を研究するライアン・カロ法律学教授は米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)の取材に「無人機1機に操縦者1人というのは(無人機ビジネス拡大に対する)深刻な制約要因になる」と指摘。米無人機メーカー、サイファイ・ワークスのヘレン・グレイナー最高経営責任者(CEO)も「規制案は小規模な企業に深刻な影響を与える」と警告した。

 無人機と民間旅客機とのニアミスが頻発していることもFAAの規制案を厳しくさせているとされる。無人機の商用認可を求め申請を提出した企業は既に40社以上というが、このうち何社が無事“離陸”できるかは今のところ見通せない。(SANKEI EXPRESS

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