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【シリア空爆】広範囲に続行 「異次元」米軍攻撃 最新兵器を投入
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過激派「イスラム国」の活動範囲(※赤丸は主な空爆地点)=2014年9月23日現在、※米中央軍の資料などから作成 3波にわたる計20回以上の攻撃。洋上から発射した巡航ミサイルは47発に上り、最新鋭のステルス戦闘機も初投入した-。米国防総省は23日、前日の22日に実施した初のシリア空爆の概要を明らかにした。8月以降、イラクで行ってきた限定空爆に比べると攻撃対象は地理的に広がり、用いられた兵器も多彩。当初の予想を超えた“次元の異なる”攻撃には、失敗は許されないという米政府の強い決意がにじんだ。米軍は23、24の両日もシリア東部を空爆し、装甲車両などを破壊した。
22日の攻撃対象は過激派「イスラム国」と国際テロ組織アルカーイダ系グループ「ホラサン」。攻撃第1波は米東部時間22日午後8時半(シリア時間23日午前3時半)ごろ始まった。紅海に展開するミサイル駆逐艦アーレイ・バーク、ペルシャ湾のミサイル巡洋艦フィリピン・シーから発射された巡航ミサイル「トマホーク」により、イスラム国が「首都」と称する北部ラッカと、「ホラサン」が拠点を置く北部アレッポの周辺に攻撃が加えられた。
米統合参謀本部のウィリアム・メイビル作戦部長は23日の記者会見で、イスラム国と並んでホラサンを攻撃した理由について「欧州と米本土を狙う攻撃計画が最終段階に入っていた」と説明した。イスラム国に対する空爆がホラサンを警戒させ、監視が困難になる事態を予期し、同時攻撃に踏み切った可能性が指摘されている。
第2波開始は約30分後。新鋭ステルス戦闘機F22に加え、F15、16両戦闘機やB1爆撃機、無人機がシリア北部のイスラム国司令部や訓練施設、兵舎、車両を破壊した。
さらに23日午前0時(シリア時間午前7時)すぎに始まった第3波の攻撃では、ペルシャ湾に展開中の空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」から飛び立ったF18戦闘機が、陸上基地に配備されているF16戦闘機とともに東部デリゾール周辺を中心に訓練施設などを攻撃した。中東諸国が参加したのは、ほとんどが第3波だったという。
メイビル氏は、攻撃に使われた爆弾の96%が標的を正確にとらえる精密誘導弾だったことを明らかにしたうえで、「(一般市民への)付随的損害を最小限にして攻撃を成功させるため、作戦は注意深く計画された」と強調した。
作戦の全容が明らかになったわけではない。
F22は2005年に実戦配備されて以来、戦闘で使われるのは今回が初めて。レーダーに探知されにくい高度のステルス性や超音速での飛行、1機で複数の戦闘機を相手にできる高い空中戦能力などから「究極の戦闘機」と呼ばれる。空対空の戦闘に適しているF22の実戦初投入が地上への空爆作戦になった理由は不明だ。
作戦に参加した周辺アラブ各国の果たした役割も伏せられている。各国のイスラム原理主義者らを刺激する恐れがあるからだ。作戦にはサウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタールの5カ国が名前を連ねた。
バラク・オバマ米大統領(53)は「ほとんど前例のない取り組み」として、国際社会と足並みをそろえていることをアピールする。掃討作戦の長期化は必至とみられており、アラブ諸国との連携維持に米国は細心の注意を払っている。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪安倍首相、空爆に理解 人道支援などで貢献≫
ニューヨークを訪問中の安倍晋三首相(60)は23日夜、同行記者団との懇談で、米軍などによるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への空爆に理解を示し、難民対策などの人道支援を行う考えを表明した。湾岸諸国との有志連合とともに「テロとの戦い」に挑む米国を支持し、中東地域の安定化に寄与する姿勢を明確にしたといえる。
首相は、シリア空爆について「事態の深刻化を食い止める措置として理解している。国際社会と緊密に連携し、難民支援や周辺国への人道支援など軍事的貢献でない形で、できる限り支援を行っていく」と述べた。
日本が今回の空爆について支持の姿勢をとるのは、中東の安定は、多くの原油を中東に依存する日本の経済の安定につながるからだ。中東の安定によって、「アジア回帰」を掲げるオバマ米政権がアジアに積極的に関与でき、東・南シナ海などへの進出をもくろむ中国に強い圧力となるとの期待もある。
一方、首相も含め日本政府は現時点で、シリアへの空爆について「理解」という表現にとどめている。国連安全保障理事会の決議を伴わない今回の空爆に関しては国際法上の疑問を指摘する声もあるため、日本は全面的な「支持」表明には踏み込んでいない。(山本雄史、ニューヨーク 峯匡孝/SANKEI EXPRESS)