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パリ国際会議 イスラム国包囲 各国思惑ずれ鮮明

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パリ国際会議 イスラム国包囲 各国思惑ずれ鮮明

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首都パリで行われた対イスラム国会議で、記念撮影を終えたフランソワ・オランド大統領(前列左から2人目)ら各国の参加者。イラク支援で一致したが、思惑のズレも露呈した=2014年9月15日、フランス(ロイター)  ≪イラク軍事支援で合意、シリア空爆は一致せず≫

 米英やロシア、アラブ諸国など約30の国と国際機関の外相らは15日、パリで会合を開き、シリアとイラクで勢力を拡大する過激派「イスラム国」と戦うイラク政府に「適切な軍事支援」を提供することで合意した。オバマ米政権が準備するシリアへの空爆拡大にはロシアが反対し、一致に至らなかった。

 米国務省は15日、イラク支援に関する国連安全保障理事会の閣僚級会合を19日に開くと発表。イスラム国壊滅に向けた連合構築を加速させたい考えだ。

 一方、米中央軍は15日、イラクの首都バグダッド近郊で空爆を実施したと発表。在留米国人保護などに限っていた空爆目的の条件を外し、イスラム国との全面対決路線を明確にしたオバマ大統領の包括戦略に基づく最初の攻撃となった。

 ヘーゲル米国防長官は16日、オバマ政権の「イスラム国」打倒に向けた包括戦略について証言するため、上院軍事委員会の公聴会に出席する。イスラム国と対抗するシリア反体制派の訓練や武器供与に必要な予算の承認を求める考え。シリアへの空爆拡大の具体的内容に言及するかも焦点だ。

 パリの会議でフランスのオランド大統領は「地球規模の対策が必要だ」と国際社会の団結を訴えた。フランスのメディアによると、フランス軍は米軍に協力し、イラクでの偵察飛行を開始した。

 ロシア通信によると、ロシアのラブロフ外相は「イスラム国に国家樹立を許してはならない」と述べる一方、シリア空爆には「シリア政権との協議が必要だ」と反対した。

 シリアのアサド政権と関係の深いイランは会議に参加せず、最高指導者ハメネイ師は15日、イスラム国対策で米国との連携を拒否すると述べた。

 会議では、イスラム国の資金源を断つ方策も議題となり、近くバーレーンで国際会議を開くことを決めた。

 ≪イスラム国包囲 各国思惑ずれ鮮明≫

 「イスラム国」封じ込めに向け、約30の国や機関が参加したパリ国際会議。国際包囲網形成の動きが本格化した半面、各国の思惑のずれや支援の限界も浮き彫りに。テロの脅威に直面し「一刻の猶予もない」(フランスのオランド大統領)との危機感の中、イスラム国対策に向け厳しい調整が続きそうだ。

 3つのカテゴリー

 「地球規模の脅威には地球規模での対策が必要だ」。オランド氏が団結を呼び掛けた国際会議は、イスラム国と対峙(たいじ)するイラク政府の支援で一致。軍事支援を含むあらゆる援助をすると明示したが、各国は役割によって主に3つのカテゴリーに分類できそうだ。

 1つ目は「軍事介入」。現段階では空爆実施中の米国のみだが、フランスは15日にアラブ首長国連邦(UAE)内の基地から偵察飛行を実施しており、空爆参加は時間の問題。戦闘機などのUAE派遣を発表したオーストラリアや英国もこの分類に入る可能性がある。

 2つ目は「武器供与」。長年の政策を変更し供与に踏み切ったドイツのほか、イタリア、デンマークなど。3つ目は「資金提供」。主にサウジアラビアなど湾岸諸国は、イスラム国と敵対するシリアの穏健反体制派への資金供与を担うとみられ、空爆の際に基地を提供する国もある。

 1000万ドル(約11億円)を大幅に上回る資金の拠出方針を固めた日本は使途を「人道支援」に絞る。スウェーデン、スイスなども同様だ。

 オバマ米政権は、イスラム国包囲の有志国連合の構築を急ぐ一方、14、15両日にイラクの首都バグダッド近郊でイスラム国の陣地などを8月の空爆開始以来、初めて攻撃。「自国民保護」を基調としていた空爆は、シリア領への拡大を視野に「攻撃色」を強めた。

 ただ、シリアへの空爆拡大の是非をめぐる考え方や、実施可能な支援が国ごとに異なるという現実からは逃れようもない。ホワイトハウスのアーネスト報道官は15日の記者会見で、米国は有志国の調整役だと説明。国務省のハーフ副報道官は「骨が折れる外交作業」と記者団に吐露し、調整の難しさを認めた。

 攻略策は不明確

 イスラム国の壊滅を目指すなら、イラクだけでなくシリア領内でアサド政権と連携して軍事作戦を行うのが効果的だが、米欧や周辺国の大半はアサド政権と対立。また、空爆拡大にはアサド政権との協議が必要としてロシアが反対するなど、実現への見通しは不透明だ。

 サウジなどの湾岸諸国には、内戦でアサド政権と敵対するイスラム国が弱体化すれば政権を利するとの警戒感がある。外交官ら約50人をイスラム国に拉致されているトルコも動きにくい状況だ。

 イランは、イラクの要請を受けて対イスラム国の軍事作戦に参加。だが、パリの国際会議には招かれず米国との連携拒否を表明するなど、イスラム国攻略の方策は明確に描けないままだ。(共同/SANKEI EXPRESS

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