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「聖戦」死の勧誘 米から100人 イスラム国参加の男性死亡

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「聖戦」死の勧誘 米から100人 イスラム国参加の男性死亡

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トルコ・キリス、シリア・バーブ  中東で勢力を拡大するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」のメンバーとなった米国人男性がシリアでの戦闘で死亡したと、米政府が8月26日公表した。イスラム国は、世界各地で“ジハード(聖戦)”に参加する戦闘員を言葉巧みに勧誘。多数の欧米出身者がメンバーとなっており、米メディアは「最大100人」の米国人がイスラム国などの過激派に合流したと伝えた。先に米国人ジャーナリストを公開処刑したイスラム国に対し、バラク・オバマ米大統領(53)は、シリア空爆による掃討作戦も辞さない構えを見せており、米国は“自国民との戦い”を迫られている。

 当局、察知できず

 米国家安全保障会議(NSC)のケイトリン・ヘイデン報道官が明らかにしたところによると、死亡したのは米カリフォルニア州サンディエゴ在住のダグラス・マケイン氏(33)。シリア北部アレッポで先週末、別の過激派組織「アルヌスラ戦線」との戦闘中に死亡した。米国のパスポートと現金約800ドルを所持。首の入れ墨から身元が確認されたという。

 米NBCテレビなどによると、マケイン氏はイリノイ州生まれで、ミネソタ州の高校に通い、その後、サンディエゴのカレッジで学び、ソマリア料理のレストランで働いていた。騒乱罪や傷害罪での逮捕歴があり、2004年にキリスト教からイスラム教に改宗。ツイッターに「彼らはアラーの神の兵士となった」「過去を決して振り返らないと、アラーの神に言わねばならない」などと書き込んでおり、次第に過激思想に染まっていったようだ。

 今年5月ごろには、トルコから国境を越えシリアに入ったとみられているが、要注意人物の監視を行っている米当局も察知できなかったという。

 貧困層の若者が中心

 エリック・ホルダー米司法長官(63)はCNNテレビに対し、シリアでは過激派組織に欧米などから約7000人の外国人戦闘員が参加しており、米国人については「100人が合流しようとしていた」と明かした。

 実際、5月にシリアでフロリダ州出身の22歳の男性が自爆テロで死亡したほか、7月にはコロラド州出身の女性が過激派支援のためシリアに渡航しようとした疑いで逮捕された。

 先に米国人ジャーナリストを処刑したのもイスラム国のイギリス出身メンバーとみられている。日本人の湯川遥菜さんを拘束しているのもイスラム国だ。米国は、その急激な勢力拡大と残虐性から、「テロ組織の域を越えた、これまで目にしたことがない組織だ」(チャック・ヘーゲル米国防長官)と危機感をあらわにしていた。

 オバマ大統領は26日、「裁きを受けさせる」と語り、検討を指示しているシリア空爆に踏み切る可能性を強く示唆した。

 欧米では社会に不満を持つ貧困層の若者が増えており、イスラム過激派組織が唱える反グローバリズムや反キリスト教思想に傾倒。交流サイトなどを通じた巧妙な勧誘によって、戦闘員へとリクルートされている。

 ヘイデン報道官は「あらゆる手段を駆使し、『聖戦』への参加を望む個人の海外渡航を阻止する」と訴えた。米当局は、彼らが帰国し国内でテロ攻撃を行うことを最も恐れており、米国人戦闘員に関する情報収集を「最優先事項」と位置づけている。(SANKEI EXPRESS

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