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シリア領内「イスラム国」空爆 「共通の脅威」 アラブ諸国と結束
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シリア内戦の勢力図=2014年8月中旬時点、ドイツ誌「シュピーゲル」を基に作製 世界中から首脳らが集まる国連総会の最中にシリア領内にある過激派「イスラム国」の“首都”空爆に踏み切ったオバマ米政権。サウジアラビアなど周辺アラブ諸国の参加を取り付け、国際社会の「共通の脅威」に立ち向かう強い意思を示した。しかし、イスラム国壊滅に向けた有志国連合の構築は道半ばで、成果を急ぐ「焦り」ものぞく。
バラク・オバマ大統領(53)は10日にシリア領内への空爆方針を表明。国際協調を掲げてきただけに、外交筋の間では、24日に始まる各国首脳らによる国連総会の一般討論演説が終わるのを待って空爆を実施するとの観測も出ていた。
このタイミングでの電撃的な空爆は、シリアでの行動を「躊躇(ちゅうちょ)しない」と宣言したオバマ氏の決意を示すと同時に、時間を置けばイスラム国が態勢を整える可能性など軍事的な理由も考慮したとみられる。
空爆の主な標的となった北部ラッカは、イスラム国が8月にシリア政府軍から基地を奪い、完全に掌握。いたるところで黒いイスラム国の旗をたなびかせながら、軍事パレードを繰り返しイスラム国の力を見せつけている。
「空爆を1日先延ばしするたびに、イスラム国は強大になっている」。米国などが支援する穏健なシリア反体制派の有力組織「シリア国民連合」のバハラ議長は22日、国連で記者会見し、即時空爆を訴えていた。
ジョン・ケリー米国務長官(70)は11日のサウジでの対テロ地域会議や、15日のパリでの国際会議を通じて有志国連合の完成を急いだ。19日には国連安全保障理事会の討論会合を主宰し、長年の宿敵であるイランに対しても協調を呼び掛けた。
米中央軍によると、22日のシリア空爆にはサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンなどが参加した。
イスラム教の預言者ムハンマドの後継者である「カリフ」が率いる国をつくったと主張するイスラム国は、現代生活に不満を抱くイスラム教徒から「理想郷」と受け止められ、世界各国から続々と「義勇兵」が集結している。
米国は「イスラム教との戦い」ではなく、過激派組織との戦いという構図を前面に出したい。周辺のアラブ諸国も体制存続への脅威であるとの危機感を共有している。
アラブ諸国は米欧諸国同様、過激思想や戦闘能力を身につけた義勇兵が自国に戻ってテロを引き起こすことを強く懸念。サウジは砂漠地帯約800キロに及ぶイラクとの国境に監視装置を増設する防衛策に着手した。
切迫した状況の中で最大限の効果を狙うオバマ政権だが、国際社会の足並みが完全にそろっている段階ではない。
シリアのアサド政権を支援するロシアやイランは、国連安保理による武力行使容認決議のない空爆は「国際規範へのはなはだしい違反だ」(ロシアのチュルキン国連大使)と反対の立場だ。
空爆がシリア内戦の行方に予期せぬ影響を及ぼす可能性もある。
オバマ大統領はシリア内戦で化学兵器を使用し国民を虐殺したとして、アサド大統領退陣を要求。だが「アサド政権」と「反体制派」の対立にイスラム国など過激派が介入して内戦は泥沼化した。反体制派にまとまりはなく、結果的に空爆がアサド政権を利することになりかねない。(共同/SANKEI EXPRESS)