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豪 「逆輸入」テロ掃討作戦/イスラム国の「公開殺人計画」阻止 15人拘束
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「イスラム国」国際包囲網をめぐる会議<各国の立場>=2014年9月15日、パリ国際会議 オーストラリア連邦警察は18日、シドニーやブリスベンなどで豪州史上最大の対テロ一斉家宅捜索を行い、15人の身柄を拘束した。トニー・アボット首相(56)は、シリアやイラクで活動する過激派「イスラム国」の支援者が、国内で一般市民の「公開殺人」を計画しているとの情報があったと明らかにした。豪政府は14日に、イラクでイスラム国打倒を目指す有志国連合の一員として、戦闘機や空軍兵士ら600人をアラブ首長国連邦(UAE)に派遣すると表明。報復を恐れ、テロ警戒レベルを引き上げていた。
フランス通信(AFP)などによると、家宅捜索は18日未明、800人以上の警官を動員して20カ所以上で行われた。アボット首相は記者団に、「イスラム国に加わっている豪州国籍の戦闘員から、国内の支援者に無差別テロの指示が発せられたという情報を治安当局がつかんだ。内容は、『一般市民を誘拐し、イスラム国の旗で包んで斬首刑に処し、その様子を撮影してインターネットで映像を公開せよ』というものだった」と語った。テロ計画に関与したとして拘束した15人のうち、少なくとも1人は重大な関連容疑がかけられているという。
イスラム国には「イスラム聖戦」思想に影響された欧米の若者らが続々と合流し、シリアやイラクでの戦闘員は約50カ国から集まっているとされる。現在、こうした戦闘員が母国に戻ってテロ活動をする「逆輸入」の脅威が世界を覆っている。豪治安当局によると、豪州からは最大160人がイラクやシリアに渡ってイスラム国の戦闘や支援に参加、うち少なくとも20人が帰国しているとみられる。豪政府はテロ警戒レベルを「中」から、上から2番目の「高」に1段階引き上げたが、テロが起こり得る状態と定義される「高」に引き上げたのは、4段階の警戒レベル制を2003年に導入して以降初めてだ。一番高い「最高」はテロ発生時か、発生が差し迫った緊急時を指す。
イスラム国との戦いは、世界的な広がりを見せている。また、オバマ米政権はシリアやイラクへの地上戦闘部隊の派遣計画を否定しているが、実際にはすでに正規軍ではない地上部隊は派遣されている。人質になっている米国人の救出を目的とした特殊部隊で、主に夜間作戦を展開し、イスラム国の幹部らしき人物を標的にしているとされる。
本来、米国とは敵対関係にあるイランも、イスラム国をめぐっては米国と「呉越同舟」の状態にある。イスラム教シーア派の大国イランは、スンニ派が牛耳るイスラム国の打倒を画策し、自国の精鋭部隊である革命防衛隊の中からアラビア語が達者な兵士を選抜して密かにシリアに派遣。同志を装ってイスラム国に潜入させ、幹部の暗殺を図っているとの情報もある。
現在の状況を招いたのは、1年前にシリア内戦での化学兵器使用が確認され、米国を中心にシリアのアサド政権打倒のための軍事介入が検討されたが、結局「アサド退陣」シナリオをめぐって米国とロシアが国連安保理で対立し、軍事介入が見送られたことが伏線になっている。その軍事力の空白に乗じ、イスラム国が台頭した。そして今、国際社会はアフガニスタン、イラクに続き、逆輸入された自国民テロリストとの「新たな戦争」に直面しつつある。(SANKEI EXPRESS)