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【プロ野球】黒田 20億円より「カープ愛」 8年ぶり古巣復帰 「恩返し」異例の決断

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【プロ野球】黒田 20億円より「カープ愛」 8年ぶり古巣復帰 「恩返し」異例の決断

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ブルージェイズ戦に先発し、11勝目を挙げたヤンキースの黒田博樹投手=2014年9月19日、米ニューヨークのヤンキースタジアム(リョウ薮下撮影)  プロ野球セ・リーグの広島は27日、米大リーグのヤンキースからフリーエージェント(FA)となった黒田博樹投手(39)を獲得したと発表した。年俸4億円プラス出来高払いの1年契約(推定)。2007年以来、8年ぶりの古巣復帰で、背番号も移籍前と同じ「15」。40歳となる来年2月、24年ぶりの優勝を狙うチームに合流する。今季11勝を挙げたベテラン右腕をめぐっては、再契約を熱望したヤンキースを含め複数のメジャー球団が20億円前後の年俸を提示し争奪戦を展開していた。「いつか恩返しがしたい」と語っていた言葉通り、育ててもらった愛着ある球団で野球人生を全うすることを決断した。

 ヤンキースなど争奪戦

 「カープに帰ります」。黒田から球団への待望の連絡は26日に入ったという。

 メジャーで主力として活躍を続ける選手が日本に戻るのは異例だ。しかも、5倍もの開きがある高額年俸を蹴飛ばしての復帰は、ファンどころか、球団関係者も驚かせた。

 ヤンキース3年目の今季は、1年目の田中将大投手の13勝に次ぐチーム2番目の11勝(9敗)を挙げ、メジャーでは日本選手初の5年連続2桁勝利を記録。エース級の田中、サバシアらが次々と離脱する中、ただ一人開幕から先発ローテーションを守り32試合で199回を投げた。毎シーズンのように200回前後を投げる抜群の安定感が、黒田の持ち味だ。

 今季1600万ドル(約19億2000万円)の年俸を払ったヤンキースが再契約をオファーしたほか、パドレスは年俸1800万ドル、08年から4年間在籍したドジャースも年俸1600万ドルプラス出来高払いを提示していたとされる。

 黒田は「日本に戻ってプレーすることがあるならば、このチーム(広島)しかない」と言い残してメジャーに移籍。ここ数年は「帰るならバリバリやっているときに帰りたい」とも語り、来季が保証されない1年契約をあえて結び、いつでも古巣に戻れるようにしていた。

 マエケンと優勝狙う

 球団も背番号「15」を空け、帰りを待ち続けた。交渉に当たった鈴木清明球団本部長は「毎年オファーは出していたけど、来年はより優勝に近づけるチャンス。その思いは伝えた。前田(健太投手)とともに軸となってチームを優勝に導いてもらいたい」と話した。

 監督交代で新体制となったチームは、黒田の加入で強力な先発陣を中心に優勝を狙える戦力が整う。緒方孝市監督は「黒田選手の選択に感謝している。選手たちのモチベーションも上がり、チームにいい相乗効果が生まれる」と期待する。

 「選手としての終わり方は考える」と語っていたように、残された現役生活は決して長くはない。「広島のファンにもう一度ユニホーム姿を見せたいという使命感」をいつも胸に持ち続けてきた黒田。“カープ愛”を貫き、自らが貢献し“優勝”という最高の恩返しができる絶好のタイミングで日本に戻ってくる。(SANKEI EXPRESS

 ■くろだ・ひろき 大阪・上宮高から専大を経て1997年にドラフト2位で広島に入団。広島での通算成績は103勝89敗で防御率3.69。FA宣言して2008年にドジャースに移籍し、12年からヤンキース。大リーグ通算7シーズンで212試合に登板して79勝79敗、防御率3.45。日米通算200勝まであと18勝としている。右投げ右打ち。大阪府出身。39歳。

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